いつだったろうか。その知らせを目にしたときは正直驚いた。
「へえ。宇田ちゃんがキャプテンか」
私が宇田沙織という選手を知ったのは、2016年の西尾大会。そのときはPerfumeのライブが目的で名古屋に行ったのだが、翌日に同じ愛知でVリーグがあることを知り、ふらっと足を伸ばして行った(西尾はとても「ふらっと」「足を伸ばす」場所ではなかったのだが…)。
そのときPFUが試合をしていたんだけれど(日立戦だったかな)、そのときが初のPFU観戦で(私は15/16シーズンからVリーグを見始めたので)、江畑選手や狩野選手が見られる、くらいの感覚だったのだが、ホールが出待ちゾーンになっていてたまたま通ったときに見かけた、25番の選手(当時の背番号だ)が印象に残ったのがきっかけだった。
やがて私はカメラを手にVリーグを見るようになるのだけれど、PFUの試合で彼女を自然と撮る機会が増えていった。ちなみに私は選手をちゃん付けで呼ぶことは基本的にないのだが、それなりに長い期間を追いかけているのもあって、宇田選手はついちゃん付けをしてしまう(後にはNECの古賀選手くらいだ)。
末っ子、チャキチャキの下町っ子…
私にとっての宇田選手像はそんな感じだ。だから、キャプテンと聞いてびっくりしたというのが正直な印象だった。
そもそも、皆さんにとってキャプテン、って何だろうか。
チームを引っ張る人、取材に出る機会が多かったりポスターに使われたり等々チームの顔となる人、頼れるお姉さん、時には選手を代表して監督やスタッフに意見するいわば橋渡し役…そんなところだろうか。
「こういう人がキャプテン」というキャプテン像は誰にでもあるのではと思う。ちなみに私の中でのキャプテン像は、今季のキャプテンの中ではNECの山内選手が一番近い。頼れるお姉さんでもあり、明るさもあり…
基本的にキャプテンというのは指揮官から任命されるけれど、二つの要素もあると思う。一つは、その選手を人間としても成長させるため。そしてもう一つは、現役続行のモチベーションとするため。前者の好例は、今季から久光のキャプテンになった石井選手だ。
キャプテンに任命した理由を酒井監督は、人間としての成長も期待してのものだったし、本人も東京五輪を控えて成長したいという意向があって受諾したようだ。
少し話はそれるが、石井選手の今季は大変だったと思う。常勝軍団久光にあって、自分がキャプテンに就任した途端に勝てなくなり…という状況はつらかったと思う。個人的に久光はコート上ではあまり感情を出さない印象のチームだが、石井選手は笑顔を絶やさないタイプだし、そのジレンマにも苦しんだ気が個人的にはする。ファイナル8を最後勝って終わって今季最終戦を終えたときのVOMインタビューでは涙も流したそうだが、その苦しさが必ず東京五輪で花開くと思っている(五輪は彼女がリーダーになって欲しいと思っている)。
もう一つの現役続行のモチベーション、という点では、チームではなく代表だが木村沙織選手がそうだったと思う。そのことはここに出ている(さすが田中夕子さんという記事だ)。
引退まで考えていた木村沙織選手を、キャプテン任命という形で続行させたわけだ。ちなみにソースを覚えていないのだが、リオ五輪が終わって真鍋監督に「ありがとうございました。でもやっぱり私はキャプテンには向いていませんでした(笑)」みたいなのをLINEで伝えたというのを何かで読んだことがある。
Vリーグでいうと、かつて日立リヴァーレにした佐藤あり紗選手(現リガーレ仙台)も、引退を考えていたときにキャプテンに任命されて続行したタイプだ。もしあのときやめていたらリガーレ仙台にいる今の彼女もいなかったのかもしれない。
話を戻す。