もう一つのFC東京

Vリーグトーク
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

私は東京サポだ。

元々サッカーに興味を持ったのは2007年。たまたまテレビで見たACLの準決勝、埼スタでの浦和対城南一和だった。私の中でサッカー=日本代表、で、スクランブル交差点でのバカ騒ぎとかをテレビで見ていて辟易していて全く興味がなかった(2002年のW杯も見ていない)。

試合はPK戦にもつれ込む熱戦だったのだが、アジアNo.1を目指す大きな大会だというのは後にわかったし、何よりテレビで見ていた埼スタの雰囲気にすっかりやられてしまった。サッカーは代表だけでなくクラブチームという側面もある、しかもリーグ戦だけでなくアジア一を決める大会がある、しかもこんなに人を熱狂させている!それで私はサッカーに興味を持つようになった。

最初は浦和を応援しようと思っていたが、カウンター一辺倒のチームにどこか魅力を感じなかったときに現れたのが、「ムービングフットボール」という魅惑のコピーを掲げ、「人もボールも動くサッカー」という非常にわかりやすいコンセプトを掲げ、「味スタを満員に!」という非常に明確な目標を掲げ、そしてのけぞるほどのガッツポーズというわかりやすい熱さを持った人、だった。そう、城福監督である。それで私はFC東京に乗り換えた(当時はポゼッションしてなんぼ、という考えだったが、やがてサッカーをたくさん見るようになるとカウンター美に見せられるようになった。その点では2006、7年頃の浦和はきっと今の私にはぴったりのはずだ)。それからソシオ(年パス会員)にもなったし、ゴール裏で跳びはねていた時期もあるし、東京サポと言っても差し支えない人間になっていた。ちなみに当時の住まいは幕張で、味スタに通うのはなかなか大変だったが、それは関係なかった。

最近では年に一試合くらいしか行かないようになってしまったけれど、でも、なんだかんだ、自分の心は東京にあるし、東京サポと言ってもいいと思っている。

そんな頃の私でも、FC東京にバレーボールチームがあることは知っていた。と言っても、東京のホームページの隅っこにバレーボールへのリンクがあるから知っていた程度、だった。平山が伸び悩んでいたときは、背の高さを活かしてバレーボールに移籍したらいい、なんてことも冗談で思っていた。

そんな感じでその頃はバレーボールには興味がなかったので、見に行こうという気も起きなかった。

2015年にたまたまテレビで見た(サッカーもそうだが、きっかけは同じ、「たまたまテレビで見た」だ)バレーW杯、もっと言うと木村沙織選手(当時)に興味を持ち、バレーボールにハマった私。やがて東レアローズという推しのチームを見つけ、一年半の札幌生活を経て東京に戻ってきた2018/19シーズンは新たな推しの選手を見つけ、そして東レアローズの準優勝という輝かしいシーズンを追いかけた私は、19/20シーズンを迎えるにあたり、視野を広げるべく初挑戦する二つのこと、を決めた。一つはV2女子を見に行くこと。そしてもう一つは男子を見に行くこと。

男子を見に行くのなら、それはもう東京に決まっているじゃないか。ということで11/9(土)の墨田大会に向かった。決まっているじゃないか、と書いたけれど日程をチェックするのを忘れていて気づいたらチケットはVチケでは完売。別のプレイガイドでかろうじて自由席を手に入れた。女子より男子の方がチケットが取りづらいのかなと思った。

思えばVリーグというのは不思議なリーグだ。男女が共に加入しているリーグは他にはない。サッカー女子はなでしこリーグでJリーグとは別だし、男女が同一リーグ、というより同一の機構に属しているのは他にハンドボールとフィールドホッケーだけだ(バスケも男子はBリーグ、女子はWリーグで運営も別団体)。男女のファンが交わることはせいぜい天皇杯・皇后杯と黒鷲旗くらい(といってもたまたま同じ会場にいるというだけだが)。最近では男女共催のVリーグの試合も増えてはいるが、男子も女子も見る、というファンは極めて少数だと思う。