その先の古賀紗理那選手

NECレッドロケッツ川崎
all text and photographed by
Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

2015年のW杯ロシア戦をたまたまテレビを見て始まった私のバレーボール人生。そのときはまず木村沙織さんに惹かれたんだけど、もう一人、気になったのが古賀紗理那選手だった。すい星のごとく現れた次世代エース、みたいな報じられ方だったし実際そうだったと思う。一人ポツンと高校生が入ってきたような、そんな印象を受けた(まあ年齢的には19才だから間違っていないけど)。

その後Vリーグも見に行くようになったんだけど、そこで見たNECは何より近江あかりさんの存在感がハンパなく、撮っていても近江さんの写真が多かった。

それが変わったのが、2017年1月15日の大田大会だった。そのことについてはここに書いているので見ていただきたいのだが、

私自身は木村沙織さんに惹かれてバレーボールの世界にやって来たんだけど、木村さんはもう現役最終盤になっていて、ああ、もっと早く存在に気づいていたら…と思うこともあった。あったけれどたぶん2015年のW杯のロシア戦を当時の自分がたまたま見たからハマったと思うし、それ以前にたまたまテレビでやっていてもスルーしていたかもしれない。

今にして思えば最終盤の数年とはいえ木村沙織さんを生で見られたのは大きかったと思う。一方で、木村沙織さんの代わり、じゃないけれど、若い頃からの成長過程を共にできる選手を追い続けていたらいいだろうなあと思ったのも事実だし、この大田大会の試合を見て、この先の古賀紗理那選手、いや、古賀ちゃんを当時の木村沙織さんの年齢くらいまで(つまり10年だ)見たいなあ…と思った。

私は選手をちゃん付けすることなんてしないんだけど(推しの選手に対してもだ)、古賀ちゃんだけはなんだかんだ昔から追い続けていることもあるしそのキャラクターからつい呼んでしまう。なのでここからは古賀ちゃんで表記する。余談だが、もう一人ちゃん付けしていた宇田ちゃんこと宇田沙織選手は先日引退を発表したので、ちゃん付けする唯一の選手となってしまった。どうでもいい。

大田大会の後、NECはファイナルに進出し、久光に勝利した。二日連続となったこのファイナルは初戦がフルセットでNECの勝利、翌日は久光が3-1で勝利し、ゴールデンセットに突入してNECが下す…という壮絶な戦いだった。試合では確か古賀選手が負傷かなにかでコートに立てるかどうか、ということもあったんだけれど、途中で交代させられた大田大会を見ていただけに、この試合にずっとコートに立ち続けられるかどうかが今後の古賀ちゃんにとっては大きいことだと思っていた。

1月の大田大会のように下げられることのない、絶対的な存在になれるかどうか。

そして、「近江あかりのNECから古賀紗理那のNEC」に変わるかどうか。

結果的にこの試合がNECの分岐点になったことは間違いないと思う。このシーズン終了後に近江選手が引退するとは全く思ってなかったんだけれど、古賀ちゃんの成長ぶりを見て安心してNECを去れると思ったのかもしれない。

17/18シーズンはVリーグを一日しか見られなかったので、ほぼ丸々一シーズンあいてしまった。18/19シーズンに東京に戻って来たのでまた見始めるようになったんだけど、古賀ちゃんはすっかりNECの中心選手になっていた。ただ一方で、相変わらず子供だなというか、古賀「ちゃん」だなあ…と思うシーンも多かった。なんでだろう。少し考えてみた。