4年+1年。東京五輪に挑む中田ジャパンの現在地

日本代表
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

いよいよ東京五輪の開幕が近づいてきました。これまでセッター&リベロミドルブロッカーアウトサイドヒッターとポジション別に選手をご紹介してきましたが、今回は中田久美監督率いるバレーボール女子日本代表はここまでどんな道を歩んできたのか、そして果たして五輪という大舞台が迫る中、今はどういう状況なのか、を私なりに考えてみました。

なお私は代表戦を全試合、事細かく見ているわけでもなく、戦術にも詳しくないので、あくまでもその程度の意見として聞き流していただければと思います。

■「ロンドン五輪で銅メダル」の眞鍋ジャパンからの引継ぎ

実に32年ぶりにメダルをもたらした2010年のロンドン五輪の眞鍋ジャパン。それがどれだけ偉業だったか、というのはここ最近の、当時のメンバーたちのテレビ出演ぶりを見ればよくお分かりいただけると思います(笑)。

2016年のリオ五輪は木村沙織さんをキャプテンにし、また新たな戦いに挑みましたが5位で終了。これで眞鍋監督は退任し、それまで久光製薬(現:久光)を3度の優勝に導いた中田久美監督が誕生しました。長年チームを引っ張ってきた木村沙織さんも代表を引退。母国開催となる2020年の東京五輪に向けスタートを切ったわけです。

ところで女子の日本代表監督って皆さん誰がパッと浮かびますかね。パッと思いつくところで葛和、柳本…というところでしょうか。つまり、有名な女性選手の代表監督、というのがいないんですよね。その点では「チームで一番知名度があるのが監督」というのが中田ジャパンだったと思います(今もそうかもしれません)。

そういう点では一挙手一投足というか、発言が大きく取り上げられることは多かったと思います。こういう言い方は何ですが、それまで木村沙織さんが(あくまでも)結果的に担っていたメディア対応を監督が引き受けることになったわけです。

■「ワンフレームバレー」のキーマン

話がそれましたが、リオ五輪から形式上は引き継いだ、とはいえ、チームとしての志向性は引き継がず、刷新したというのが私の印象です。そのキーワードが「ワンフレームバレー」だと思います。カメラのワンフレームに収まる様を例えた表現ですが、私なりの解釈では、

・相手サーブをセッターに低く返す

・セッターはそのボールを素早くトスする(ただし高く上げすぎない)

・アタッカーがそれをすかさず打ち込む

この攻撃パターンを柱に据える、ということだと思います。

サッカーでいえば堅守速攻。つまり相手のブロックが整う前に決めてしまう。だって、海外を相手にしたとき、体格差で劣る日本は相手に時間を作らせないことが欠かせないわけです。

ではこの戦術を遂行するためにはどうしたらいいか。

・選手たちにこの戦術を叩き込む

・この戦術を実際にやっているチームの選手で編成する

このどちらかです。前者については、代表チームである以上、拘束時間に限りがあるので(あくまで選手たちの所属は各チームであって、多くの時間をチームで過ごしています)難しい部分もあります。得意でないプレーを求めたところで、ベストなパフォーマンスができない可能性もあります。

※拘束時間については今回リーグを2月で終わらせて、3月から代表合宿を始めたことでだいぶ解消しているとは思います。

後者については、そういうチームはなかった、ということになります。というのも、外国人選手がキーマンになっているケースが基本的に多いので、となるとそのチームをまんま移植することはできないわけですね。

ちなみに個人の考えですが、ワンフレームバレーを一番やっていたのは日立リヴァーレだと思います。特にファイナル6を首位通過した15/16シーズンは一つの集大成だったと思います(その立役者だった松田監督が、その後も代表チームのスタッフに入っていないのは正直疑問なのですが)。

ではコンセプトを元にどうやってチームを構成するか。当然ですが、そのコンセプトを体現できる選手を呼ぶわけです。となるとこうなります。

・相手サーブをセッターに低く返す→新鍋理沙選手

・セッターはそのボールを素早くトスする(ただし高く上げすぎない)→佐藤美弥選手

セッターとアタッカーのコンビネーションは、代表合宿中で鍛える。それが中田久美監督の考え方だったと思います。