Vリーグという企業スポーツ

Vリーグトーク
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Vリーグにハマってからもうすぐ2年になる。バレーボールではなくあえてVリーグ、としたのは、結果的に今はVリーグファンというか、その構造に興味を持ち、そのよさに惹かれているから、だ。

私がバレーボールに興味を持ったのはたまたまテレビで見た2015年のW杯という話はさんざんしたが(というよりはっきり言えば木村沙織さんだったけれど)、私は元々競技に興味を持ったら、リーグ戦を見に行くタイプなので、それでVリーグの存在を知って、開幕戦に足を運んだのがきっかけだった。

もちろんVリーグの名前くらいは知っていた。サッカーJリーグに習ってできたリーグ。だからVリーグ。その程度の認識だった。その頃の自分なら、男女でリーグがあり、男子ならサントリーとかパナソニックとかFC東京、女子ならNECとか久光とか東レがある、ということくらいは知っていたと思う。前にも書いたけれど私はNECにいたので、会社として後援会もあった(もっともラグビーとセットだった)。けれどあるんだ、くらいだったし足を運ぼうとか応援しよう、とかは思わなかった。しかもNECはたびたび経営不振に襲われていて、男子チームを解散させている。ただ、女子が残った、というのは興味深いというか、現実なのかなとは思った(注目度というか)。

そして初めて足を運んだVリーグ。最初はプロリーグだと思っていた。サッカーで言うところのJリーグと実業団のJFLのように、VリーグがJリーグに相当すると思っていたからだ。今にして思えば、木村沙織選手とか長岡選手とかW杯で見た選手ばかりだとプロ選手の集まり、と誤解してしまうのは仕方なかったと思う。「選手はあくまでも会社員としてチームに所属しているんだ」と気づくのはもう少し時間がかかった。

確かにバレーボールマガジンの選手名鑑だと、選手が所属している部署名なんかも書いてある(バレーボールマガジンって本当に貴重な雑誌だと思う)。

スポーツ選手が仕事をしながらスポーツをする、というのは珍しいことではない。野球で言えば社会人野球とか独立リーグはまさにそうだし、サッカーだって、例えばノジマステラというチームは選手が親会社の店舗で働いたりもしている。先日なでしこリーグの一部に昇格したばかりだが、それくらいの規模だと社業との兼務は必然となる(その点だとINAC神戸は親会社がしっかりしているので基本的に選手とはプロ契約だし、そうではなくても社業との兼務はないようにしている)。

そしてこの記事。

「第2の人生」見据え仕事とバレー兼務 ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
 ジェイテクトの男子バレーボール部「スティングス」は、「V・プレミアリーグ」の2016/17年シーズンを3位で終えた。プレミア昇格から4年目での3位入りはリーグ初の快挙だ。バレー専業の選手で固める他チ...

これが現実なんだと思う。働きながらバレーボールをやる。これは成功事例だと思う。

なんでそうなるんだろう。

バレーボールだけで食っていけない、からだろうなと。

チームとしては十分な収入がないわけで。例えば選手と監督、コーチ、そしてチームスタッフ(経理とか運営)が30人いるとして、最低でも20万の給与が必要とする。となると600万、年間とすると7200万。他にもボール代とか施設利用料とか移動の交通費とか経費はいろいろかかる。

このお金をバレーボールだけでは稼げないのだろう。バレーボールの収入って試合収入、スポンサー収入、放映権収入…しかもVリーグって4ヶ月間ほど。期間が短いから当然稼げるお金も限られる。とても30人を雇えない。