パリ五輪 眞鍋ジャパンの実感 その2~問われる軌道修正~

日本代表
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パリ五輪を目指した第二期眞鍋ジャパンを振り返る記事。ここまでパリ五輪に至る過程を振り返りましたが、その2はパリ五輪について振り返ります。

リベロ二人制で臨んだパリ五輪

■選手構成

セッター 岩崎 関

ミドルブロッカー 渡邊 山田 宮部藍 荒木

アウトサイドヒッター 林 古賀 石川 井上 黒後 和田

リベロ 福留 小島
※打ち消し線は五輪の出場枠2名減に伴う選考漏れ

世界選手権やVNLといったFIVB主催試合は14名が登録できますが、五輪は12名ということで2人はメンバー外になってしまいます。

たいていはミドルブロッカーとリベロを減らすのですが、眞鍋監督が選んだのは異例のリベロ二人制。ちなみにパリ五輪でリベロ二人制は他にブラジルとフランスだけですし、共に一人を試合ではレシーバー登録にしてました。他の国は例外なくその分をアウトサイドヒッターに回しています(ちなみに東京五輪の日本はミドルブロッカーに回しました)。

アウトサイドヒッターを減らしてまでサーブレシーブを小島選手、ディグを福留選手、で分担するというのは眞鍋監督が見出した最適解ということでしょう。これは間違いなく、いざとなったら宮部藍梨選手をアウトサイドヒッターで起用できるという思惑もあったと思います。

個人的にはこの「一つのポジションを二人で分担する」というのは眞鍋監督の一つの手法なのではと思います。二人で一人といいますか。石川選手と井上選手、林選手と和田選手はまさにそんな感じです。

例えが難しいのですが、簡単に言うと攻撃もできて守備もできる、なんて二刀流の選手は極まれなわけで、でも二人合わせればスーパースター、というか。わかる人はごくわずかだと思いますが、野球でいうとレフトを、試合の中で角中選手(攻撃)と荻野選手(守備)で併用している千葉ロッテがまさにそのパターンです。

古賀選手はスーパーな選手なので補完する選手は不要。なので、一人でいい。それもあってアウトサイドヒッターは5人でいいということになったと思います。

SNSを見ていると、どうも選手ファン同士の足の引っ張り合い(まあファンとも言えませんが)があるようですが、どっちがいい、悪いではなく、二人で一人なんだ、という風に考えてほしいです。基本的にネガティブなことが盛り上がるネットはどうしても0か1か、の極端な議論になるので(「○○はいらない」みたいな過激な話をすれば、当然強い反発があるのでそれを楽しんでいる)、それに対して病んだ人は気にしないことです。

話を戻しますが、この12人の選考についてはファンの間では東京五輪のような議論はあまり巻き起こらず、一定の納得感はあったのではと思います(もちろん、外れた選手のファンはそうではないでしょうが)。

■あらすじ

ご存じの通り、日本はポーランド相手に1-3、ブラジル相手に0-3と連敗。ケニアには3-0で勝ちましたが、決勝トーナメントには進めず、結果は東京五輪と同じ予選敗退となりました。

同じ、と書きましたが、それは結果だけであって、内容は東京五輪を上回るものだった、と個人的に思います。まず、予選ラウンドの形式が今までと違って試合数が減っているんですね。

今までは12か国が2つのグループ・6チームに分かれてその中で5試合の総当たり戦を行い、上位4チームが決勝トーナメントに進出できるのですが、試合数の多さもあり、今回のパリ五輪から3つのグループ・4チームでの3試合総当たり戦に変更になり、グループ上位2チームと、3位の中で成績のいい2チームが進出、に変わっています。

今回ドミニカとオランダと最後の一枠を争った形になりますが、この二チームと日本は対戦してないんですよね。もし対戦していたら結果は違ったのでは…ということは考慮すべきと思います。

とはいえ。負けた二試合については思うところがありました。次はその話です。ちなみに皆さんは、予選ラウンドの各試合をどのように予測していたでしょうか。決勝トーナメント進出のためにどんなシミュレーションをされていたでしょうか。ちょっと思い出してみてください。