最優秀ホームゲーム賞:2019/2/3 デンソーエアリービーズ対久光製薬スプリングス(宝来屋 郡山総合体育館)
私のツイッターやブログをお読みの方ならご存じと思いますが、今年はホームゲームに頻繁に足を運んで、「THIS IS HOME」という連載(トヨタ車体、東レ、KUROBE、岡山、NEC)も書いてきました。
新生Vリーグの一つの特徴であるホームゲームのチームへの移管というのが興味深くてその取り組みを書いてきたのですが、数あるホームゲームの中で、いわばVリーグの理想型とも言えるホームゲームがこれだと思います。
といっても私はこのゲームは行ってないのですが、行っていないゲームからこれを選んだ、ということでも価値があると思っていただければ。
ではどんなゲームだったか。もうこれは写真が全てを物語ります。
席いっぱいに、真っ赤に染まったアリーナ。聞けばチケットも完売だったそうです。今シーズンチケットが完売した試合はVリーグで果たして何試合あったのでしょう。もしかしたらこの試合だけかもしれません。
私の中では、これがたぶんVリーグの機構が目指すホームゲームの形、だと思うんです。ものすごく簡単に言うと代表戦の雰囲気をVリーグでやるとこうなる、というのが完璧にできたのがこの試合だったと言い切れると思います。試合も、デンソーのホームゲームということで相手チームは音響利用禁止。完全にデンソー一色になっていたわけです(デンソーの失点時も音楽を流していたような…)。
デンソーの得点では応援団の音楽と共にDJが「デンソー!」とコールしてたり、会場の音を完全に支配してました。そして来場者にはTシャツを無料配布。音だけでなく視覚も完全に支配していたわけです。これがもし対戦相手がNECレッドロケッツだったら相手チームのカラーでもあるのですが、久光ということで完全に久光からすれば敵のカラーにほとんど埋め尽くされた会場で試合をしていたわけです。まあそれでも勝っちゃう久光ではありますが、でもフルセットにもつれ込んだ試合ですからね。負けたとは言えデンソーの選手たちもその雰囲気によって一番熱くなった試合だったのでは。
なんで愛知をホームとするデンソーが郡山でホームゲーム、かつアリーナを埋められるのかと思いますが、デンソーは郡山に工場があるから、のようです。デンソーのユニには西尾市と郡山市の市章がプリントされているのも個人的には印象的でした(ユニに市章があるのはV1女子はデンソーだけです)。
デンソー主催の試合で過去最多となる3,600人の観客で埋めつくされました。
引用元:株式会社デンソー福島のブログ
この試合を考えると、大きなアリーナで試合をするよりは、空席率を少しでも減らせる会場で試合をすることを優先すべきなのではとも思ってしまいます。その方が会場の熱量が上がり、選手をさらに後押しできると共に、会場に来た人たちもその熱量から「また来たい」と思ってもらえるかも、だからです。簡単に言えば飢餓感ですよね。チケットが完売する=早く買わないと見られないかもしれない、と思わせるのは大事です。「まあ当日行って当日券でもいいや」というのは「当日までに別の予定に切り替えるかも」というわけでつまり熱量はそれほど高くないわけですからね。
さて、いよいよ最後となる、最優秀ゲーム賞の発表です。
今季、皇后杯含め見た試合数は50。その中から、私の大ファン・東レアローズの試合やチャレンジステージといった特別な試合は極力避け、できるだけ普通のリーグ戦にしようと考えた結果選んだのは…
最優秀ゲーム賞:2018/11/18 JTマーヴェラス対日立リヴァーレ(ウイングアリーナ刈谷)
皇后杯準決勝のNEC対久光と迷ったのですが、そちらは一発勝負のトーナメント戦の準決勝という特別感のある試合と考えるとやはりこちらかなと。
この試合のことは過去に書いたので詳しくはそちらに、になりますが…
ただ、とにかくフルセットにもつれ込んだときの角田監督の、控えエリアの選手たちへの「お前らそこに座っていて。得点時に声出してもええから」の一言に尽きるなあ、と。ベンチに座る選手を増やして、得点時はみんなでドッと沸き上がる。ファインダー越しの鳥肌が立ったのはこの試合だけだったんじゃないかな…
今にして思えば佐藤美弥選手がこんなに感情を爆発させているのも珍しい気が(笑)
あと、上記のブログでは「フルセットにもつれ込んだときにR.Y.U.S.E.Iを流したのは、(その曲調から)ヘトヘトになっている選手たちを後押しするためだ」と書いてますが、リヴァーレ応援団の方と話す機会があって聞いたらそこまでは考えてなくて偶然だそうです(笑)。
ベストゲームであるからには、あの試合でのあの監督の采配が…とか、ローテーションの組み替えが…とかあの選手のスパイクが…と言いたいところですが、私はそんな目はまだ持ち合わせていないので。でも、「控えエリアの選手たちをベンチに座らせる」も私にとっては立派な采配です。
この試合を始め角田監督とリヴァーレの選手たちというのは毎試合が物語になっていたというか。日立は10試合見てますけれどいつも楽しませてもらっていた印象です。
それはもしかしたら…
新生になろうとプロ化が進もうと失ってはいけないVリーグの原風景、なのかもしれません。