Vリーグの撮りどころ22/23シーズン ~東レアローズ・プレー編~

カメラ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

小川愛里奈選手のブロードの助走

そもそもなんで助走に注目するようになったかといいますと、

ブロードを撮るにはネットの左側のサイドの席がいいわけです。間近に来ますし、右側だと支柱や主審が邪魔になりますからね。ところが、当然ながらいつもそういう席が取れるわけではなく、反対側になることもあります。困ったなあ、と思ったときに、小川選手の魅力はそのスピードなのだから、だったら助走にフォーカスしてみては?と切り替えたんですね。

今気づいたのですが、小川選手のかつてのコートネーム(高校より前?)は「ラン」だったそうで、それは確か「走る(run)」から取られていたはず。その助走も彼女の魅力なのかもしれません。

そんな、試行錯誤の今シーズンの集大成がこちらです。

石川選手のところでも書きましたが、今シーズンは助走にけっこう注目してましたね。同じシーンばかり撮ってアップしていてもしょうがないじゃないですか。もちろん同じシーンと思われてもそこに進化もあるのでそれが無駄とは言いませんし私も撮りますけれど、視点を変えることは大事だなと思いますし、「あー、これじゃ撮れないな」とあきらめるのではなく工夫してみること、は絶対大事だと思いました。カメラ論みたいな話になっちゃいました。

叫びながら打つ小川愛里奈選手

屈指の負けず嫌いと言われている小川選手。まあチーム一の天然と同様本人は否定しているのですが(このイジリももうできなくなるな 笑)、劣勢の時とか、対面に同期の兵頭選手(デンソー)がいるときとか気持ちが入っているときは、「おりゃあ」と言いながら打ってました(相手を威圧するような大きな声ではないです)。一度ネット際にいるときに思いっきりその声が聞こえて、つい笑ってしまいました。つい漏れ出す心の声という感じかな。なのでご本人は、叫びながら打っているなんて思っていないかもしれません。

小川愛里奈選手のブロック

えっ、そんなシーンあったの?と言われそうですが(このイジリもできなくなるな 笑)、今シーズンは多く見られましたね。しかも、大事なところで飛び出すんですよ。変な話、あまり決めない選手だから相手のダメージも大きくてそれで流れが変わるというか。2月の四日市大会のトヨタ車体戦は終盤にカッティーノ選手のバックアタックを見事に止めて、あれで流れが変わった印象を受けました。

長年の東レファンの方によると、かつて男子の東レにいたMBの鈴木悠二コーチの加入が大きかったのではと。マイVリーグアワードのベスト6に選出した時にも書きましたが、私自身は苦手と言われるブロックを克服するのではなく長所のブロードを磨くべきだとずっと思っていてブロックはあまり意識していなかったのですが、ご本人なりの努力が伝わってきました。

さて。東レを退団した以上推しではなくなりましたが、正直を申し上げれば、そのポテンシャルを考えれば東レに居続けるのにも限界があるなと、見ていて思っていたのも事実です。自分をよりステップアップさせるための退団。そういう判断を下したのではと思います。

最後に、小川選手を間違いなく誰よりもたくさん撮ってきて(そりゃ、あれだけ連写しているからねってそういう話じゃない 笑)、見続けてきた身として、一言。

みなさん、小川愛里奈選手はまだまだこんなもんじゃないっすよ。

以上気持ち悪い文章になりましたが、最後の推し語りということでお許しください。
そして大変お待たせしました。


そんな東レアローズの、今シーズンの個人的なベストショットはこちら。

あの試合後、選手たちは悲嘆にくれていたと多くの方は思われているでしょうが、試合直後はこういう光景があったんですよ。ということは言いたいですし、伝えたいです。私自身、この一枚にどれだけ救われたことか。