私は事情は詳しく知らないんだけれど、関選手の出身校である柏井高校から東レに入るケースは珍しいようだ(ちなみにデンソーには二人いる)。そこまでして獲得した選手ということはそれなりに期待も大きいのではないだろうか。そしてなにせ、中道さんという名セッターがお手本にいる。ちなみに迫田さんもいるので(おお、ロンドン五輪メンバーや!)、東レは今のV1女子で最強のコーチ陣を抱えているといっても過言ではないだろう。
だからどこか中道さんと関選手が二人三脚というか、中道さんによる英才教育が行われているのでは…そんな印象だ。どんなに名選手でもいつかは引退する。その技術は伝承されなければもったいない。今まさに、その伝承の最中なんだろうなと思った。
その翌週。東レは京都の地でファイナル3突破を決めた。その試合で勝利の円陣の中に放り込まれたのは関選手だった。1ヶ月前の愛媛とは違う、感情爆発からあふれ出る涙にこっちまで胸が熱くなった。
そして間違いないと思うんだけれど、このときは中道さんは関選手を褒めたと思う。
彼女は王道のセッターという道の途中なのだ。
ファイナル8の戦いぶりは間違いなく彼女のその歩みを着実なものにさせたと思う。
2週間後。グランドファイナルでの彼女は自然とカメラを向けたくなるオーラにあふれていた。1週間前の名古屋で途中でベンチに下がった姿からは見違えるようになっていた。試合は残念ながら負けてしまったけれど最優秀新人賞に加えベスト6に選ばれるなど、晴れ舞台だった。
ただ。この日、中道さんの姿は武蔵野の森にはなかった。
でも、たぶんもっと彼女が中道さんに見せたい晴れ舞台が近いうちにやってくる。
それはたぶん間違いのない予想だと思う。