18/19東レアローズ執風記~レギュラーラウンド編~

東レアローズ滋賀
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2019/1/13 対岡山シーガルズ ●2-3 ジップアリーナ岡山

当初全く念頭になかった遠征だった。新年早々黒部に行くし、さすがにそんなに頻繁に遠征に行くわけにも行かない。でも、Vリーグ女子会で「推しの選手の地元の試合ですよ」と東レファンの人に言われてそこからなんとなく考え始めていた。まあ人って何となく考え始めたらたいていは実際に行動に移しちゃうものだ。まあほら、岡山のホームゲームぶりも見ておきたいし。

新生Vリーグになろうが岡山は岡山だった。ジップアリーナは岡山駅からそこに至る道まで相変わらず理想のホームゲーム像だった。それにのまれたわけではないんだろうけれど、東レは第一セットを13-25とあっさり落としてしまう。続く二セットは連取したけれど、第四セットはマッチポイントを取りながらも27-29と落とし、それで勢いを失ったのか第五セットも11-15と、結果2-3で敗れてしまった。

勝てる試合を落としてしまった。そう思った。この勝てるというのは実際の試合結果のことでもあるし、試合前にイメージしていたこと、でもあった。岡山が五位というのもあったけれど、戦力を考えても東レは負けるわけないし、五位は岡山で東レは四位か三位でファイナル8に進むと勝手に思っていた。それがこの試合を境に一気に風向きが怪しくなるのは、そんな慢心が故だったからかもしれない。

別に選手がそういう気持ちで試合をしていたわけではないけれど、僕自身は「ウチらなめるんじゃないよ」と岡山に言われているような、そんな試合だった。ちなみに後で知ったんだけれど、岡山はこの試合からスタートコートを逆にしていたらしい。縁起担ぎかどうかわからないけれど、道理で、チケットが完売しているサイドが岡山ではなかったわけだ。当初は相手チームは音響禁止だったとも聞く。いろいろ変えようとしていた結果だったのかもしれない。

2019/1/13 対デンソーエアリービーズ ○3-0 ジップアリーナ岡山 勝利の円陣:小川選手

先月行ったホームゲームで完敗だったデンソー戦。そう、この頃から対戦相手も二巡目に入り、私は一度見た対戦相手をまた見るようになっていた。過去のシーズンそこまで試合を見ていなかった僕にとっては、「前回はこうだったけれど今回どうなるか」という観戦の楽しさが新たに加わっていた。

試合はまさに先月の試合を真逆にしたような展開で、3-0とあっさり下してしまった。しかも第三セットは30-28とデュースになったのも一緒だった。これまで何試合も今シーズンの東レを見てきて、僕はその戦いぶりの分析をなんとかできるようにしたいと思っていたんだけれど、そこで出した結論は、東レは強いのか弱いのかようわからん、ということだった。

成人の日は翌日だったのに、岡山市の成人式はこの日だった。私は結果的に推しの選手の成人式の日に居合わせることができたわけで、それはとてもシアワセなことだった。と同時に、次の日が成人式だったら本人も式に出られたんだろうなと思うとかわいそうでもあった。しかもまさかの出場機会なし、だった。登録メンバーなのに出場なし、は今シーズン初めてだった。

そりゃ、試合に出ている様子は見たいけれど、でもずーっと控えエリアにいたことで僕はまた新たな魅力を見つけてしまった。白井美沙紀選手と日高萌選手という漫才…ではなくコンビだった。控えエリアでも楽しそうにコートにいる選手たちを盛り上げている様子は見ていて微笑ましかった。

そして、得点からのテクニカルタイムアウト突入時に、「イェーイ!」と元気に走り出していく様子は僕の新たなシャッターポイントになった。思えば今季の東レは「新たなシャッターポイント」の連続だった。

ちなみに。この日初めて試合を通して出番のなかった小川選手だったけれど、試合後の勝利の円陣に放り込まれたのはいわば晴れ舞台、だった。しかも、いつものように試合後に無邪気に黒後選手に抱きつきに行ったら、待ってましたとばかりに担ぎ上げられて放り込まれたのが彼女らしかった。

その円陣からは「試合には出られなかったけれど」という声が聞こえてきた。成人式の日、たぶん知り合いも多く来ていたことだろう。そこで活躍する姿を見せられなかったのは悔しかったに違いない。

選手たちの倍も生きていればいろんな思いを勝手に重ね合わせてしまう。だからこうして追いかけて撮り続けるのかもしれない。今の僕はまだそれでいいのかもしれない。