1年ぶりに戻ってきたVリーグの世界と東レアローズ。18/19シーズンは準優勝に輝くなど、東レアローズにとっては輝かしいシーズンになった。年間23試合とそれなりに見てきた僕なりに、今シーズンの東レアローズの戦いぶりを記録しようと思う。レギュラーラウンドに続いて、こちらはファイナルステージ編。
2019/3/2 対NECレッドロケッツ ○3-2 照葉積水ハウスアリーナ 勝利の円陣:中田選手
2019/3/9 対久光製薬スプリングス ●1-3 花巻市総合体育館アネックス
僕のファイナルステージ初戦は花巻の地になった。思えば東北に来るのも5年ぶりならば、岩手に来るのは20年以上ぶり。こうしてあちこちを旅できるのもVリーグ観戦の魅力だ(全然観光しないけど)。ちなみにファイナルステージは日程がなかなか発表されなかったし、公式パンフでは全然別の場所が書かれていて、花巻になったときはびっくりした。しかも隣接する二会場で開催されるためファイナル8の全チーム、プラス、チャレンジステージの2チームも来るという贅沢なイベントになった。まるで音楽フェスだ。そう思った。
ファイナル3進出争いは埼玉上尾とトヨタ車体。もちろん久光は首位通過。そう思っていた。東レは岡山とのデットヒートでなんとか進出できたわけだしポイントも0からのスタート。進出などまったく頭になかった。
ただ、ファイナル3進出のためには「全ての試合に勝つしかない」わけで、選手たちにとってはある意味腹をくくれる、割り切れる状態にあった。そういうときの東レアローズはめちゃくちゃ強い、というのを僕は後で思い知ることになる。
で、まさにNEC戦で0-2からの大逆転を演じた東レアローズにとって、この久光戦を万が一にでもモノにすることができれば、ファイナル3進出も夢ではなくなる。万が一。花巻市総合体育館に並んでいるとき、僕の頭にあったのはそれだけだった。
試合は第一セットをなまじ取ってしまったのがまずかったのか、僕は「いける!」と思ったけれど久光様を本気にさせてしまって一蹴されてしまった。まあこの試合についてはこれくらいでいいと思う。
この試合で大事だったのは「石川真佑選手デビュー」だった。
2月のウカルちゃんで選手登録されて、試合前練習にジャージで参加していたけれど、この日はユニフォーム姿で練習に参加していた。そう、ユニフォーム姿はこの花巻が最初になった(間違いないと思う)。しかも、それだけじゃなかった。なんと、スタメンで登場したのだ。将来、スターになるであろう彼女のデビュー戦に立ち会えたことは光栄だったし、こうなったら絶対初得点の瞬間を撮って残す!と僕は俄然意気込んだ。
にしても、デビューの緊張感を和らげようとする日高選手や白井選手はさすがだなあと思っていた。こういうところが東レアローズっていいよなといつも思う。
そして13:12、その瞬間はやってきた。第三セットでのことだった。
フリッカー(という言葉をこの日初めて知った)の影響で色が少しばらけているけれど、席から近かったことで幸運にも僕はそれをかなりはっきりとした形で残すことができた。僕はこういうときは応援団だったりボード、断幕も入れることを大事にしているので、「マユ」ボード初披露のタイミングも結果的に収めることができた。
なぜ、この花巻という場所が彼女のデビュー戦になったのか。別に出身(愛知だ)でも何でもないのに。僕が思うに、一つは久光という、今のVリーグ界最強のチームと戦うことでVのレベルを感じ取ることができるから。実際試合開始早々新鍋様に何度もサーブで狙われるという洗礼を浴びている(冷静に相手の弱点を突くというのは新鍋様らしいなと)。
もう一つは、正直な話、ギャンブルだったと言うこと。彼女が大化けすれば久光に勝てるかも、なんて思いもあっての起用だったのではと。捨て試合なんて言葉を使いたくはないが、ファイナル8を考えた中で唯一負けられる試合、だった。
それもあったのだろうか。この日は黒後選手を下げるシーンも見られた。しかも相手は石川真佑選手と、である。おお、下北沢成徳の先輩と後輩の交替シーンが…などとは思わなかったけれど。黒後選手にとっては悔しい交替だったかもしれないし。
ただ、黒後選手をよく撮るようになってファインダー越しに調子の善し悪しはなんとなくわかるようになっていた。この日は絶不調超だった。
負けたのは残念だったけれど、一セットを取ったことでVに君臨する久光の牙城にほんのわずかな穴は開けられたのかもしれない。ファイナルとかこれからの大舞台で他のチームがさらに開けてくれたらいいな。
ちなみに後で気づいたが、この試合は水杉選手のリベロ登録デビューの試合でもあった。全く気づかず写真も撮っていなかった。これだからガチになってはダメなのだ。