サマーリーグで見えた東レアローズの未来

東レアローズ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

6月30日~7月2日に開催された2023年のVリーグ・サマーリーグ西部大会。今回会場は滋賀県大津市の滋賀ダイハツアリーナでした。そう、東レアローズのお膝元。

5月に発表された東レアローズのリリースは多くのバレーボールファンにも衝撃を与えたようですが、果たしてチームは今後どうなるのか。戦力は、なによりチーム自体は。地元開催ということは知り合いに会えていろいろヒアリングできるはず。ということで、東レアローズの未来を確かめにサマーリーグに初めて足を運んできました。

なお私自身、今後の東レアローズについて5月に下記のような推察記事を書かせていただきました。推察をした以上はその後の動向を少しでも追うべきだ、という思いもありました。

そこで見えてきた二つの未来についてお話しします。

①チームの未来

まず、そもそもチームは残るのか、ということです。上記の記事にも書きましたがあれだけ選手が抜ければ、SVリーグはおろかVリーグ自体から撤退してしまうのでは、と。

結論から言うとそれは完全な杞憂に終わりました。7月6日に、「SVリーグ参入へ」と地元の京都新聞が報じています(ちなみに滋賀に地元紙はなく、京都新聞滋賀版、なんです)。

ただ、このニュースが出る前にも、サマーリーグでいろんな人とお話しする中で、当初危惧していた東レ株式会社によるバレーボールチームの活動休止、どころかSVリーグに参入するのでは、という未来が見えてきました。それが5月に締結されていた、あの有名な陸上のサニブラウン・ハキーム選手とのパートナーシップ契約です。

このことを私は全く知らなかったのですがサニブラウン選手、東レ所属になっているんですね。過去東レがアスリートと契約したケースって果たしてあったのかな、と。ウィキペディアによるとだいぶ昔を中心に全くケースがなかったわけではないようですが、いずれにしても珍しいことは間違いありません。

実は東レとスポーツ、はそれなりにシナジーがあるんですよね。そもそもVリーグで使われているバレーボールの支柱は東レ製。そう、あのボーイング787にも使われた東レが世界に誇る炭素繊維です。

ちなみにコロナ禍ではボーイング社が新規機材制作をストップしたことで東レの株価が下がったくらい、東レにおける炭素繊維の存在は大きいんです。そしてこの炭素繊維は、アスリート向けの義足にも使われています。

あと、全面には出ていませんが、錦織圭選手などプロテニスプレーヤーのウェアにも使われているユニクロのドライEXも東レの技術。なので、東レとスポーツはシナジーが発揮できるんですね。まあ、本来であれば東レアローズのユニフォームも、ユニクロがサプライヤーになるのがいいのですが。

せっかく親会社が事業でスポーツを手掛けているのに、そしてせっかく自社でスポーツチームを持っているのにそれを活かしていない、というもったいなさというか、スポーツチームを持つことをあまり重視していないのでは、というのが私の考えだったのですが、サニブラウン選手とのパートナーシップ契約でそれはないな、と思いましたし、チームを失くすことはないな、と安心しました。

あとSVリーグでは5000人以上収容のホームアリーナの確保が定められていますが、何を隠そうサマーリーグの会場だった滋賀ダイハツアリーナがそれを満たしているんですよね。既に条件を満たしている少ないチームのうちの一つなので、SVリーグに参入しなきゃもったいない、というのはありますね。

そして何より。サマーリーグのチーム受付で発表されていたファンクラブ開設のビッグニュースです。