改めて説明します。MVPですが、単純にプレーがよかった、というだけでなく、初めてVリーグを見ようとする人に「まずはこの人を見ておけ」という意味合いも入ってますし、写真をたくさん撮った身としての要素も加味しています。
最優秀選手賞:関菜々巳選手(東レアローズ)
本来は優勝チームから選ぶべきとは思います。ただ、東レもレギュラーラウンド優勝ではありますし、何より上で書いた「まずはこの人を見ておけ」という要素を考慮して選出しました(東レファンだから選んでいるということではありません)。
まず、今や日本代表の正セッターになったということが一つ。そしてチームをレギュラーラウンド優勝、リーグ準優勝に導いたことが一つ。ですが、それなりに東レを追ってきて何より今シーズン感じたことが、「強くなった」です。
過去の彼女は劣勢になると余裕を失ったり、大舞台で敗れると号泣する、なんてことがよくあったんですね。もちろんそれを批判しているのではありません。なにせ、高校を卒業していきなり東レというそれなりに強いチームの正セッターになったわけですから。要は、そういう経験を通して打たれ強くなっていった、ということが言いたいんです。
今シーズンは試合中に笑顔を見せることも増えましたし、負けても淡々と、そして泣いたり悔しがるそぶりも見せなくなりました。あのファイナルの舞台でも、チャンピオンシップを取った後の攻防の中でのTOでも笑いながら戻ってきましたしね。あと、3月の深谷大会では時間がだいぶたっているにもかかわらず相手のチャレンジ要求をのんだ主審に「もうプレー始まってますよ」と抗議する(実際にしたのはコートキャプテンであるヤナ選手)、なんてこともありました。
いずれも今までの彼女には考えられない光景で。今シーズンは頼もしく思えることが多かったです。
プレー面だと、彼女はリベロかというくらい守備範囲が広いんですよね。その俊敏さも彼女の大きな武器だと思います。そしてトスワークについては、一言でいえばメッセージ込みのボールを上げている、というところでしょうか。「ここはあなただ」とかそんな簡単なものではなく、さらにバックボーンのあるメッセージ。その一端が、まさにファイナルの最後の攻防での石川選手へのトスです。それについてはここで書きましたが、
あれはそれほど興味のない人からも結果論による批判が集まりやすいと思いますが、少なくとも私は当然の選択だと思ってました。ただ、セッターは負けると批判が集まりやすいポジションではあります。「なんで決まらなかった」より「なんであそこにトスを上げた」になってしまう。
そういった声にも動じなくなった強さ。それを彼女は今シーズンモノにしたなと。
とはいえ代表ともなればさらに大きな重圧がかかってきます。あの日のファイナルを超える、彼女が経験したことのないようなものが。でも、今の彼女ならそれも力に変えてくれると私は思います。
今シーズン終了と共に二人三脚だった中道コーチも、何かと支えていた同じポジションの白井美沙紀さんも、いつも気にかけてくれた小川選手も、泣いているときに笑って励ましてくれたヤナ選手も、みーんないなくなってしまいました。でも、今の彼女なら大丈夫。
そして最後に。東レに残ってくれてありがとう。
皆さんはどんな選手をベスト6に選びますか?
どんなコンビが見ていて楽しいですか?
どんな選手をMVPに選びますか?
考えると結構楽しいと思いますよ。
ではまた来シーズンお会いしましょう!
次ページには、これまでの受賞歴を掲載します。宜しければお付き合いください。