今のVリーグは23/24シーズンで幕を閉じ、24/25シーズンからは新たなリーグに生まれ変わります。簡単に言うと
・新設されるSVリーグ
・その下部に位置するVリーグ
この二つに再編されます。
SVリーグはものすごく簡単に言えば選抜されたチームによるリーグ、で、さらに簡単に言えばエリートの集まり(使いたくない言葉ですが、わかりやすくするために使っています)。SVリーグ参加の条件は現時点では発表されていませんが、過去に出ていた報道では、人件費を含めた年間運営費を当初4億、27/28から6億円に設定、現在V1・500万の加盟金(年会費)を三倍程度に引き上げ、外国人選手枠の撤廃、下部リーグへの降格ナシ、といった内容でした。
ズバリ、東レはSVリーグに加入するのかどうか。これにつきます。
24/25シーズン以降の東レの行く末は下記の4つです。
①SVリーグ加入
②下部のVリーグ加入
③チーム活動休止
④チーム譲渡
それぞれについて考察します。
まず「①SVリーグ加入」については、可能性は低いのではないでしょうか。普通に考えて、これからSVリーグに加入してよりチームを発展させていくのであれば、こんなに選手は抜けないですよね。
SVリーグになると加盟金は高くなる、チーム運営費も多額になる。企業としてこれ以上お金出せないよ、ということになれば、自然とSVリーグ加入はなくなります。そしてこれまでの東レを見ていれば、一定の支援はしてくれていたけれど、これ以上の支援をしてくれるとはとても思えません。これは直接的な関係はないとは思いますが、東レ株式会社の社長が13年ぶりに替わるんですね。経営陣の交替により企業の方針が変わる、というのもよくあることです。
ただ、可能性があるとすれば、楽観的に読み解くのであれば、まず来シーズン(23/24)は最下位でも降格することはありません。だって、V2もなくなりますから。最下位でもSVリーグに加入申請して認められれば入れます。なので23/24シーズンはミニマムにして育成に徹するシーズンにして24/25からSVリーグに参入と割り切った、と捉えることはできます。
また、23/24シーズンはパリ五輪の関係でリーグ戦が短縮され、各チームとの総当たりが三試合から二試合に減ります。東京五輪のあった20/21シーズンと同じで、リーグ戦は早々に終わり(このときは2月に終わりました)、残りは代表選手が抜けたVCupの開催。なので、最低限のメンバーだけでなんとかなるシーズンではあります(代表選手が抜けても、VCupは内定選手の加入でカバーできる)。
とはいえこれはかなり楽観視したものだと正直思います。ただ、こういう可能性もある、ということを頭に入れておくことは必要だと思います。
続く「②下部のVリーグ加入」ですが、チームの存続ありき、で東レ株式会社が考えてくれているとすればあり得るパターンです。ただしVリーグの加入だと、たとえ優勝しても入れ替え戦はないのでSVリーグには上がれません。ただSVリーグはチーム数は増やすことを想定しているので、ライセンス要件(運営費等)を満たすようにしていずれは加入する、という可能性もゼロではないです。
ただ。SVではなくVリーグ加入となると、東レ株式会社としてチームを持つ意味というのがかなり低くなります。まず前提として実業団方式についてお話すると、実業団方式とは親会社がお金を出している形です。選手は親会社の社員で、給料も社員としてもらっています。なので、チームによっては社業比率が高いところも(特にV2)。要は事務作業など仕事をしているということですね。だって社員なんですから。
もし社業を全くしないで日々練習をしている場合だと、親会社からすればバレーボールチームはただの赤字に。そういうときは、チームが優勝したり所属する代表選手が活躍することでチーム名が報道される、という広告宣伝効果としてその赤字を認める、補填するということになります。これが実業団方式ですし、少し前のプロ野球もこのパターンのチームが基本でした。つまり、チームを持つということはそれだけお金がかかるわけです。
東レの場合選手は社業をしていないようですし、つまり東レ株式会社としては広告宣伝効果としてチームを保有していた部分が非常に大きいと思います。もちろんそれだけでなくて、選手やスタッフによるバレーボール教室を開催することでの地域貢献や、チームを持つことで社員が一丸になる福利厚生の効果もあります(都市対抗野球とかまさにそうですね)。
ただ、SVリーグではなくVリーグとなると当然試合が中継されたり、報道される機会はほとんどなくなります。広告宣伝効果はない。となれば、チームを持つ意味はないですよね。
となると「③チーム活動休止」になります。つまり東レ株式会社としてバレーボールからの撤退(男子がどうなるかはわかりませんが)。正直言うと、そして残念ながら、この可能性は現時点では非常に高いと思います。
23/24シーズンでチームが終わるから、このメンバーでやれるのは22/23シーズンが最後になるので、ファンサービスを充実させ、シーズンが終わったら主力を一足先に放出。23/24シーズンは最低限チームの存続をさせればよく、選手たちを多く抱える必要もないので先にコスト削減をする、というのが今回の大量退団になった、となればつじつまも合います。このつじつまの合い方、が非常に高いので、可能性が高いと思うわけです(今シーズン見ていたアロともの方もここは共感してくださると思います)。
そして残る「④チーム譲渡」ですが、これはないでしょう。男子だと活動休止になったFC東京がネイチャーラボに譲渡されたケースはありますが、あれは東京という大都市にあるチームだから成立した部分が大です。滋賀はスポーツチームがあまり盛んではなく、Bリーグの滋賀レイクスもB2に降格、サッカーも今となっては珍しい、Jリーグ加盟チームがない6県の一つに名を連ねています。滋賀はマーケットが小さいんですね。大津も実質、京都経済圏ですし。そもそも地元新聞もなく京都新聞滋賀版ですからね。
もちろん、どこかの企業が手を挙げて、マーケットの小さい滋賀からチームごと移転、という可能性もなくはないですが、とはいえ…
ちなみに東レアローズも元々譲渡によって生まれたチームです。前身はユニチカフェニックス。あの「東洋の魔女」のチームなんですが、ユニチカが経営不振になってチームが解散の危機に陥ったときに、男子を持っていた東レが手を差し伸べて存続したんです。
とつらつら書いてきましたが、いずれもあくまで現時点での妄想話です。では方向性が少しずつ見えてくるタイミングはいつなのか。それを次から記載します。