④GSS東京方式(人材派遣会社)
このチームの親会社は、人材派遣会社です。
つまり、③に書いたような、選手をスポンサー企業に雇用してもらう方式、ではなく、選手をさまざまな会社に送り出しているわけです(確か賀谷選手は保険業だったはず)。③は雇用主はスポンサー企業ですが、この④は①と同様、雇用主は親会社なわけです。
いやいや、③と④の何が違うのかと思われるかもしれませんが、③は所属チームと所属(雇用)企業という二つの自分を持つわけですが、④は働き先は派遣先であっても、あくまで所属はチームでもあり企業でもあるGSSなんですよね。
おそらくですが③のパターンは、雇用先での選手の働きぶりというのはチームはそんなには把握していないのではと思います(もちろん就業態度が悪いとかは話が来るでしょうけれど)。でも、この④は、選手としてだけでなく社会人として働いているときのこともチームは把握できるわけです(もちろん①もそうです)。
つまり、選手を一社会人として扱っているし、成長させようとしている。そんな理念を感じます。だってチーム紹介に「バレーボール選手である前に、社会人として自立し、誰からも信頼される人であれ」って書いてますからね。こんなことはっきりと書いてあるチーム、他にはないですよ。たぶん。
ただ、とはいえ人材派遣会社ですから、社員がちゃんと働けないのでは会社としての責任が問われます。だから、だと思うのですが、他のVリーグのチームに比べ、社業の比率は一番高くて練習時間は一番少ないチームではないでしょうか。しかも本拠地は東京。体育館の確保も大変だと思います。
あと、この記事によるとホームゲームの設営も選手たちでやっているようです。負担はハンパないわけです。
でもそれを言い訳にするな、というのがチームの方針のようですね。
しかもこのチームもっと面白いのが、クリニックをやっているんですよね。
いや、バレーボール教室をやったりスクールを開設するチームはありますが、クリニックとしてメニュー化しているのもたぶんここだけです。しかもGSSの選手たちとの練習試合もできるようです。
GSSの選手を派遣しているわけです。
まさに人材派遣会社の発想です。
派遣会社というのは、相手のニーズに合わせてそれにあった人を派遣しているわけで、だから自然とこういうクリニックも生まれたのかなあと思います。
実はこのGSS東京サンビームズというチームを知ったのは4月のオールスターで、もっと言えば賀谷選手がかわいい、というきわめてわかりやすい理由なのですが、そこから所属チームを知り、さらに母体が人材派遣会社、ということでものすごく興味を持った次第です(実は私はある九州のアイドルグループが大好きなのですが、そこも興味を持ったのは親会社が芸能事務所ではなく人材派遣会社だったから、です)。
なのでまだGSSの試合は見たことがないんですね。19/20シーズンは絶対行きますが。
そしてGSSのもう一つ面白いところは、本拠地が東京都であることなんですね。東京都を本拠地にしているV1、V2女子のチームはありません。つまり、これだけ人口の多い都道府県でありながら空白地帯なんですよ。
Vリーグを全国に根付かせるためには、地方の産業と蜜に連携して…というのが③のパターンでした。地方のいいところは、住居など生活費が安いので、運営資金が少なくても多少はやっていけると言うことです。選手も同じ年俸240万でも、同じ1Rのアパートでも家賃が3万のところと8万のところで暮らすのは、生活費に使えるお金という点では全然違いますよね?
その点では東京でチームを運営していくというのはものすごく大変なのですが、そこを、企業の多い東京だからこその産業と言える「人材派遣会社」でチームを経営している。
すみません、④のGSSが一番長くなりましたが(笑)、地方だけでなく東京で活動しているこういうチームも一つのビジネスモデルになればいいなあと思います。
そのためには「スポーツ選手を企業で採用するとこんなメリットがある」と思わせることも大事ではないでしょうか。個人的にはバレーボールは随時データが入ってくるのでそれを瞬時に解析する能力が求められたり、そんな瞬時の判断能力は社会人としての大きな武器になるのでは…と思います。
あと…
GSSみたいなチームがV1に上がったら、バレーボール界はもっと面白くなると思います。