Vリーグのチームの理想型を考える

Vリーグトーク
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③KUROBE方式(企業連合)

これまでのブログでもさんざん書いてきたのですが、KUROBEアクアフェアリーズは、スポンサー企業が選手を雇用しているんですね。サイトにも「オフィシャルスポンサー(選手雇用企業)」とはっきり書かれています。

つまり、強い親会社がなくても黒部およびその周辺にある企業が、連合形式でチームを持てるというわけです。昨年のV1のチームの中では、PFUのかほく市(3.5万人)と並んでホームタウンの人口の少ない黒部市(4万人)でもチームが持てるわけです。もっとも黒部市はYKKのお膝元なのでそれなりに産業はある町といえますが。

産業があると言うことは従業員も多いし住民も多い。こういう町にVリーグのチームを作っていける余地はあるのではと思います。もっとも、これは何もVリーグでなくてもよくてJリーグのチームだってBリーグのチームも、産業のある町にはできてしまいますが。

退団後の選手がそのまま雇用企業で働けるのかはわからないのですが、もし働けるのであれば選手としてもありがたい話だと思います。「アクアジュニア」という教室も開いたりしているので、もしかしたらOGの活躍の場もあるのかもしれません。

さて、この、親会社がある①でもなく、選手契約として社業に就かなくていい②でもない、この③のパターンは最近できたチームには多く見られます。

まず最近できたリガーレ仙台ですが、トライアウトには「仙台市内の各企業に勤務しながらバレーボールの活動をしていただきます」とあります。2018のトライアウトには「合格者はスポンサー企業で勤務しながらプレー」とあるので、おそらくスポンサー企業に雇用してもらうという形態になっていると思います。

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一方フォレストリーヴズ熊本は、トライアウトの要項を見ると「フォレストリーヴズ熊本をサポートして頂いている地元熊本の医療法人で勤務しながら選手として活躍できます。」とあります。

フォレストリーヴズ熊本
フォレストリーヴズ熊本のオフィシャルWEBサイトです。

しかもフォレストリーヴズ熊本の素晴らしいところははっきりと「またこの制度はセカンドキャリアを見据えた時に役に立つ経験だと考えます。」と書いていることです。バレーボール選手として活動した後も、医療関連に従事してそのまま地元で働くことができる、と。だって医療関連って職業として安泰な方じゃないですか。

お気づきの方も多いと思いますが、埼玉上尾メディックスと同じですね。当然入院患者にとっては選手の活躍は励みになるでしょうし、医療関連に携わる企業も多いのでその人たちをファンにできるかもしれない。これも、Vリーグの一つの形と言えるのかもしれません。

そして、福岡市に隣接する春日市を本拠地とする福岡春日シーキャッツはこれまた特殊で、アスリートの就職・転職を支援する企業と就労支援におけるパートナー契約を締結しています。

https://www.spodge.sports-f.co.jp/2037/

シーキャッツのトライアウトの要項を見ることはできなかったのですが、記事によればスポンサー企業で働きながら週三回の練習をしているそうです。

熊本もそうですが、個人的には屈指のバレーどころである九州にV1女子チームがないのが不思議でなりませんでした(鳥栖市に本拠地のある久光があるじゃないかと思うかもしれませんが、神戸市とのダブルフランチャイズですし、練習拠点が神戸なので九州のチームと言い切れないと個人的には思っています)。そこに熊本が復活して、さらに福岡春日が誕生(福岡はVリーグも開催される市民体育館に加えて照葉積水ハウスアリーナもできるなど、アリーナ環境は整っているんです)するなど、九州にチームが増えているのはうれしいです。

これからもさまざまなビジネスモデルで、いろんなチームが全国に誕生し、未来を担うバレーボーラーが増えたらいいなあと思います。というより「いいなあと思います」と他人事ではなくいつかはチームの運営なり設立のお手伝いだったり、立ち上げだったりに関わりたいというのは今の個人的な目標です。

で締めようと思っていたところ…

個人的に「面白い!」と思った第四のモデルを見つけてしまったんです。