Vリーグのチームの理想型を考える

Vリーグトーク
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続いてはチーム形態を通して、Vリーグが今後拡大していくための理想型を探りたいと思います。

Vリーグのチーム形態は「基本的に」二つです。

①親会社運営方式

今のV1女子のチームのほとんどがこれです。長らくVリーグ、しいては日本バレーボール界を支えてきた方式です。選手はチームの母体となる企業に入社して、社員として所属する形でバレーボールに従事しています。チームは親会社から資金が提供されるので(おそらく広報宣伝費などの扱い)、資金のやりくりを気にする必要はそれほどなく(もちろん予算の提出等はあるでしょうが)、チームスタッフは経営と言うよりは運営をしています。

これによるメリットは、何より親会社に所属することでバレーボールの次の人生が保証されている点。バレーボールを引退しても社員として働けるわけです。また、企業によっては引退後も企業が主催するバレーボール教室に参加するなど、バレーボールから完全に離れるわけではないという点もあります。

デメリットとしては、一企業に依存しているわけですから、その企業の経営状態の影響を思いっきり被る点です。ユニチカ、ダイエー、パイオニア…なくなったチームはたくさんあります。

②クラブチーム方式

大きな親会社を持たず、経営なども自分たちで完結されるパターンです。つまりチームの運営資金を自分たちで営業活動をして調達しなければならないわけです。

元々は岡山がこの先駆けだったと思いますが、姫路が続き、他にも親会社が経営危機に陥って解散を余儀なくされていわばその後継として設立されたフォレストリーブス熊本やリガーレ仙台、そして新規参入を目指す福岡春日シーキャッツもこのパターンです。

岡山や姫路は親会社がないということはつまり、岡山シーガルズという会社よりはチームに「入団」しているので、おそらくですが社業などはせずにバレーボールに専念できる環境にあると思います。ただし、スポンサー企業のためにイベントに出演したり、バレーボール教室を開いたりという営業活動はあります。

メリットとしては選手たちがバレーボールに専念できる点といえるでしょう。デメリットとしては社員ではなく選手としての契約なので、選手としての価値がなくなったら退団するしかない、というところでしょうか。

個人的には、①のチームから声をかけられなかった選手が、いずれ①なり全日本から声をかけられる選手になるよう徹底的に鍛えてもらう学校に入る、という印象です。岡山と姫路の監督である河本さんも竹下さんも、まんま先生という感じですよね。

岡山は選手も多いけれどその分退団も多い。かといってチームスタッフの枠なんかほとんどないと言っていいでしょう。岡山を退団した選手がその後どうしているのか、をあまり知らないのですが、先日引退した山口舞さんはどうなるのかな…それがいわば岡山の一つの方向性というか今後の道筋になるのかなと思っていたのですが、シーガルズとゆかりのある大学の正職員になられたというのは、まさに岡山らしいなあと。

山陽新聞デジタル|さんデジ

親会社を持たなくても、独自で地道に築いてきたパイプやつながりで選手の未来の道筋を作る…ほんと、岡山は理想郷だなと思います。その他のクラブチームも、目指すは岡山、というところが多いのではと思います。

一方ヴィクトリーナ姫路ですが、こちらはトライアウトがあったので要項を見てみたのですが、「株式会社姫路ヴィクトリーナとのプロ契約」「プロバレーボール選手としてチームの活動に参加」とあるので、バレーボールに専念できる環境にあるようです。

2019年度トライアウト 詳細決定のお知らせ |【ヴィクトリーナ姫路】
このたびヴィクトリーナ姫路は、以下の通りトライアウトを開催することが決定いたしましたのでお知らせいたします。 ヴィクトリーナでは、プロバレーボール選手を本気で目指す優秀な選手を募集しております。 なおプロチームでの基準を

ちなみに育成チームとして「マックスバリュ姫路ヴィアーレ」も用意されているのですがこちらは契約はマックスバリュのアスリート社員雇用となっていて、社業も条件になっています。野球で言えば育成契約と一緒ですね。頑張れば支配下選手になれる、ということでしょう。これは面白い形態だなと思います。というより育成チームなのに社員雇用されるなんて前例がないですね。いわば①も包含したハイブリッドな経営体型と言えるのでは。

さて。

私は当初Vリーグのチームはこの2パターンしかないと思っていました。いや、大きく分ければそれであっているのですが、知れば知るほどそこから派生した特殊なというか、今後Vリーグのチームが増えてバレーボールが日本にもっと根付いていく一つのやり方、モデルケースを見つけました。それがこれです