ファイナルステージ直前のレギュラーラウンド最終節、3月25・26日の深谷大会。私は結果的にファイナルステージに進出する全チームを見られたわけだが、どのチームも最終盤に向けた完成形が見られたのに対し、東レからはイマイチそれが見えなかったのだ。
開幕時点とシーズン最終盤のチームは違う。もちろんそこには内定選手加入もあったりするのだが、チームとして今シーズンやろうとしてきたことが、試合が進むにつれて成熟してきて、最終盤にはほぼ完成の領域に入っている。トスなどのコンビネーションや、ある選手をうまく活用したシステムだったり、どのチームも戦術が成熟しているのだが、東レは開幕からやっていることが何ら変わっていない、そう思っていた。変わっていなければ対策も容易だ。
そんな状態で果たしてファイナルステージを勝ち上がれるのか。他のチームは完成しつつあるのには東レは…。そんな話をあるフォロワーさん(アロともではない)にしたところ、こう言われた。
「東レって完成しないチームじゃないですか?」
未完成のままのチーム。確かに言われてみればそんなチームだ。なんだかんだと勝ってしまう。それは石川選手、そしてクラン選手という屈指のOHコンビがいることが大きい。野球でいえば防御率はリーグ最低でとにかく打たれるが、7点取られたら8点取る打撃陣がいる往年の近鉄みたいなチームだ。
個に依存している部分も大きく、つまりそれは不安定なんだけれど(個の調子に左右される)、でもそうやって勝ち上がってきたのがこのチームだし、「そういうチーム」という点では完成形かもしれない。未完成という完成形のチームとでも言おうか。
果たして私の不安は杞憂に終わり、ファイナルステージ初戦から二連勝で早々とファイナル進出を決めた。特に初戦は、リーグ戦を7連勝で締めくくって4位に食い込んだ、最も勢いのあるチーム相手に三セットでいずれも20点以上取らせないという快勝ぶりだった。正直敗れると思っていただけに、意外だった。ファイナル進出を決めて迎えた4月15日の豊田大会は石川選手を温存(どう見てもそうだ)して、深澤選手や西川選手を試すなど普段の東レではあまり見られない手まで打った。引退試合を見届けた石井選手ファンの方に「珍しく手を隠しましたね。今までの東レはこんなことしなかったのに(ここまでしてきたか)」と言われたのがうれしかった。
だが。そこで喰らった先制パンチを糧に再び這い上がってきたチームが、ファイナルの対戦相手になった。
そう。その相手は4ヶ月前、ここからそう遠く離れていない東京体育館での皇后杯決勝で敗れたNEC。東レとしては皇后杯のリベンジ。NECとしてはファイナルステージ初戦での完敗のリベンジ(ファンはあの試合を相当悔しがっていた)。そんな構図だった。
リーグでは5シーズンで三度、そして皇后杯では3年連続で進出しているファイナルの舞台。過去の結果は皆さんご存知の通り。どうしたら、どうやったら、大舞台で勝てるんだろう。また同じことを繰り返さないで済むのだろう。選手も考えていただろうが、私も一ファンとして考えていた。
ただ間違いなく言えるのは、今までと同じことをしていたらダメだろう、と。なので私も今までと違うことをした。断酒なんてこともしたけれど、なにかファンからのうねりを作りたかった。ファイナルで戦うのはアロじょだけじゃないよ、アロとももだよ。そんなメッセージを、アロともからの発信としてなにかスローガンというかハッシュタグを決めて、選手たちを鼓舞しよう、そう考えていた。
そう思ってハッシュタグを募集していたら大﨑選手がこんなツイートをしてくれたので、呼応する形で「#過去の記憶と感情は一切捨てます」というハッシュタグを決めたら、ありがたいことに大勢のアロともが乗ってくれた(ありがとうございました)。
今度こそ…今度こそだ。
今度こそは、今までと違う。
この思いでアロじょもアロともも、一つになっていた。こうしてあの日を迎えたのだった。