年が明けてからもチームは概ね好調だった。黒後選手は年明けのウカルちゃんアリーナで、土曜の試合は初めてアタックでの得点も決め、日曜は初の前衛出場と復帰から復調に歩みを進めていた。元々越谷監督は終盤までに間に合ってくれればいいと言っており、ホームゲームを一つの段階として、彼女の復活へのステップを慎重に踏ませている印象はあった。
そのあたりのことは全部ここに書いたので、読んでほしい(この記事は現時点で全記事でアクセス数一位。ありがとうございます)。
こうして2月5日で全チームとの対戦が一巡したが、チームは相変わらず二位をキープしていた。2月18日からの三レグはいきなり久光、JT、NECとの上位との三連戦となり正直苦戦すると思ったが、そんな不安を一蹴するかのように三連勝。結局最終戦の埼玉上尾に敗れるまで連勝をキープして、20/21シーズン以来の、レギュラーラウンド優勝を飾った。
その三レグで、今シーズンの東レを振り返る上でカギになったと思う試合は、3月12日のデンソー戦だ。
前日、愛媛でも一敗を喫したKUROBE相手に苦戦し、フルセットで勝利は収めたものの、この試合で井上選手が負傷するというアクシデントが起きた。その試合で代わりに出場し、翌日のこのデンソー戦で先発起用されたのが、大﨑選手だった。
東レのミドルブロッカーは、しばらく井上、大野両選手で固定されていた。そこに台頭してきたのが小川選手で、20/21シーズンから土日どちらかで先発出場。皇后杯決勝やリーグファイナルでもスタメン出場したように序列が上がると、21/22シーズンは大野選手が退団したこともあり土日共にスタメンで起用され、5シーズン目でようやくレギュラーに定着した。
そして同じ21/22シーズンに、小川選手のように土日どちらかのスタメン出場という形で出番が増えたのが大﨑選手だった。だが、皇后杯決勝では井上選手にスタメンを譲り、その後負傷もあったのかベンチ外の試合もあるなど、そのまま井上選手がいわばレギュラーに返り咲く形となった。
レギュラー定着というチャンスを与えられながらも、それをモノにできなかった。そんな悔しさは間違いなくあっただろう。だから、彼女の今シーズンにかける思いは強かったはずだ。今度こそレギュラー定着を。井上選手が満身創痍(テーピングの多さが物語っていた)だったこともあり、彼女がレギュラーを奪えるくらいに成長することが後半戦のカギであり、ひいては優勝のカギとなる。皇后杯決勝では早々に下げられたこともあり、なおさらそう思っていた。
ところが、昨シーズン同様コンディション不良なのか帯同すらしない試合もあり、レギュラーは再び井上選手に奪われてしまう。これでは昨シーズンと同じではないか…。そんな思いももしかしたらあったかもしれない。
だが、そんな彼女に急な形で出番が舞い込んだのだ。そしてこのデンソー戦が久しぶりのスタメン出場だった、というのが今シーズンのカギとなった試合と思う最初の理由だ。
もっともこの試合は劣勢になったこともあって第三セットから下げられてしまった。それが彼女にとってさらに発奮する結果になったのだろう、その後の試合は岡山戦の第五セット以外は全て出場と、出番を守り通した。さらにこのデンソー戦は、代わりに出場した深澤選手の活躍も大きかった。チームは確実に底上げされていた。
だが、カギになったと思うのはそれだけではない。それは、第三セットでの采配にあった。