試合を見ていて感じたのは統率力だった。例えば、年輩の張心穆意選手にもハッキリと指摘する光景はびっくりした。サーブを打つときも彼女が振り向いて声をかけていて。新加入選手なのにまるでずっと前からいるかのような、それどころかキャプテンなんじゃないか、というくらいの存在感を放っていた。
と思っていたらこの記事がアップされて、道理で!と思った。
ーー中澤選手に。あまり初めて感がないというか、昔からいる選手みたいに感じます。
中澤:早稲田大学でやっていた時に、チーム内でなかなか練習試合ができないのでGSS東京にお願いして毎週来ていただいていました。
JAぎふ・唐川愛璃「元気とか、笑顔とか、感動を届けていかないと」、GSS東京・中澤恵「期間は3か月。応援してくれる人に感謝の気持ちを伝えたい」 V2女子会見(バレーボールマガジン)
そして上記の記事を読んでいただければわかるが、彼女がそのチーム───GSS東京サンビームズを選んだのは、練習試合でお世話になったことへの御礼、だったのだ。
その後も彼女に関する記事がいろいろ出てきたのだが、それだけ注目されていた選手だったし、かつ、4月からバレーボールを離れて一般企業に就職するということの異色さというか、驚きが関係者にもあったのではと思った。下記の記事の通り、実際にV1のチームからの誘いもあったというからなおさらだ。
春高を連覇した選手が、Vリーガーにならず一般企業に就職する、というのは、Vリーグ関係者からしたらショックな話かもしれない。Vリーグに魅力を感じてもらえていない、ということでもあるし、Vリーグ機構に批判的な人は「それ見たことか」と思うだろう。
ただ。
私は彼女が、たった3ヶ月でもVリーグでプレーしようと思ったこと、に何より価値があると思う。
そしてさらに言うと、プレーできたこと、にも。
なぜそう思うか。