ベンチに掲げてなかったユニフォーム~JAぎふリオレーナの奮闘~

JAぎふリオレーナ
all text and photographed by
Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

あの岐阜大会から一年。2023年1月15日の荒川大会で再びJAぎふを見たが、チームは開幕5連敗と調子を落としていた。その原因については監督が語っている通りなのだろう。

JAぎふ・唐川愛璃「元気とか、笑顔とか、感動を届けていかないと」、GSS東京・中澤恵「期間は3か月。応援してくれる人に感謝の気持ちを伝えたい」 V2女子会見
1月15日に荒川総合スポーツセンター(東京都)で行われたバレーボールV2女子の試合後会見コメントをお届...

ただこの記事にもあった通り栁沼選手の調子が上がっていないようで、この荒川大会でも前日の試合は途中交代し、この日は出場機会がなかった。GSS東京相手に勝利をおさめたが、荒川大会は彼女の地元にかなり近いので、もしかしたら彼女も活躍する姿をもっと見せたかったのかもしれない。

去年に続き再び開催されることになった、東レとの共催となる来週の岐阜大会では見られるといいんだけど、と思ってその日は会場を後にした。

翌週の2023年1月21日、岐阜市・で愛ドーム。
第一試合のJAぎふは、V2で優勝争いをしている10勝1敗の2位・アランマーレが相手ということもあり、試合は1-3で敗れた。スタメンは勝った前週のGSS東京戦と同じだったが、劣勢ということもあったのか、途中で栁沼選手が登場した。ただ、OHではなくMBの梅田選手(登録はOHだが)との交替出場にびっくりした。こういっては何だが、180cmも珍しくないMBで163cmの彼女が、である。何かの間違いかと思ったが、ミドルでブロックにも飛んでいたので間違いなくMBのポジションでプレーしていた。

これが何を意図するものかだったまで推測することなんて全くできない素人なのだが、サーブレシーブを改善するなど、劣勢の中での一時的な守備改善、つまり立て直しを狙ったものなのかもしれない。ただ、今見たら昨シーズン10本ものブロックを決めているので、ブロッカーとしても期待しての投入だったのかもしれない。

ただ、やはりイレギュラーな起用だったようで、まだ梅田選手が前衛にいる状態で再び下がった。その起用の意図はわからないが、監督としては貴重なオプションになっているのだと感じた。
※後でこの起用の意図がバレーボールマガジンで紹介されていた。

JAぎふ・高石明美「気持ちはひとつで戦う」、GSS東京・張心穆意「ヤバイ!と思っていたサーブが入った」、群馬銀行、ヴィアティン V2女子会見
2月4日にヤマト市民体育館前橋(群馬県)で行われたバレーボールV2女子の試合後会見コメントをお届けす...

これが、攻撃が手詰まりだったり調子が悪いOHの選手を交替する、とかならよくあるのだが、彼女の起用はそれ以上、のような気がした。簡単に言えば「彼女なら何でもやってくれる」。監督からすればこれほど使い勝手がよく、そして頼りになる選手はいないだろう。一人○役、と言えばわかりやすいだろうか。

※ここからは翌日、1月22日の話のため、掲載写真や表現に配慮した内容になります。

翌日の試合も前日と同じスタメンだったが、第一セットを21-25で落とし、第二セットも8-6と接戦だったところで早くも彼女が、今回はOHとして投入された。自分に求められている役割が何なのかを十分に分かっていたのだろう、サーブレシーブやアタック以上に何より、ボールに食らいつき、広い範囲をカバーしてチームに安定感を取り戻させようとしたように見えた。小柄な彼女が文字通り奮闘していた。

だが。第四セット、9-5となったところで彼女は負傷してしまった。私もこれまで選手の負傷シーンを見てしまうことはあったが、その中断の長さに事態の深刻さを感じた。ぽっかりと空いた穴。それは何も戦力だけではなく、何よりチームの心も、だと思った。だが、だからこそ、残された選手たちは奮起した。一時は17-15と2点差まで追い上げられたが、選手たちはある思いを胸に25-19でこのセットを取り、チームはセットカウント3-1で見事に勝利を収めた。