風の谷の東レアローズ21/22ファイナル

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

いかがだろう。たぶん「他人事のように」と悪い風に捉える人が多いと思う。

私はこれを見てつい笑ってしまったし、越谷監督らしいなと思った。

越谷監督らしいなと思ったのは、選手たちを大人扱いしているということだ。一見突き放しているように見えるこの言葉だしそれもあると思うけど、一方で「自分がどれだけ介在しても彼女たちを変えることはできない。自分で気づくことが大事だ」と考えていると思う。

何より「こうしろ!」と強く言ったところで、人というものは自分の思い通りになってくれるわけではない。逆に、言うとそうなると思っている指導者もいると思うが。

私もこのチームを何年も見ていて「何でこれができないんだろう」と思うことも多いんだけど、「あの人たち」と言えば気が楽になるなと思った。当たり前だけれど一ファンの私が選手に介在することなど全くできない。自分の思い通りになることなんてましてや絶対にない。

「ウチの選手たちは相変わらずこれができない」より

「あの人たちは相変わらずこれができない」と考える。

文字を見ただけでも後者の方がもどかしさが減っているのではないだろうか。

そうか、「あの人たち」と考えればいいんだ!というのは今シーズン得られた気づきだった。

ファイナル3の対戦相手が久光と決まったときは、正直キツイなと思った。久光が「勝てるチーム」というのは3か月前の皇后杯決勝が言い表していた。ウチはレギュラーラウンドでは三戦全勝していたけれど、それはまぐれみたいなものだと思っていた。

しかも久光は先週、3位入りのためには二連勝するしかないNEC戦(通称:玉川大決戦)で見事な勝利を収めていた。最初の8点目のTOはいつもNECなのに、結果的にひっくり返していたのも久光らしかった。あとNECはウチと似ていると思っているので、ある意味翌週のファイナル3をイメージしながら見ていた私は悪い予感しかしなかった。

ただ、こうも思った。久光も、首位JTも「勝てるチーム」。久光を倒せないことにはJTだって倒せない。チームが掲げる「頂越」の舞台にはちょうどいい。とはいえウチが久光を倒すとしたら3-0だと思っていた。あの人たちは勢いで押し切らないと勝てないのだ。

第一セットは25-21でモノにした。皇后杯決勝も第一セットは取ったのだが、あのときは「おかしい」「こんなはずじゃない」と思って見ていたけれど、この日のあの人たちにはそこまでの違和感はなかった。