青猫の名前~PFUブルーキャッツが紡ぐ再生の物語~

PFUブルーキャッツ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

②俺達の将康

日立リヴァーレの角田監督が副部長に戻って角田ロスに陥っていた私を救ったのが(笑)、坂本監督だった。試合前に挨拶に来た相手チームのコーチを殴るようなマネをしたり(笑)、試合前に審判と笑顔混じりに談笑したり、言動でチーム警告をもらうところとか(しかもちゃんと「すみませんでした」と謝る)とても似ている。

そもそもこの監督に興味を持ったのは、10月での草津大会だった。私はベンチ裏に座っていたのだが、試合前のサインボールの投げ込みで、客席に投げ込む選手たちとは違って、監督はどうやら誰かに直接渡していたようで、スタッフに突っ込まれると「だって、(自分のことなんか知られてないし)拾ってもらえないかもしれないんだもん…」みたいなことを言っていて、私は一人吹き出してしまった。

ちなみにそれもあったのか、12月の刈谷大会ではベンチ裏の席に座っていた子供に手渡しのように渡していて「PFUを応援するんだよー」と呼びかけていて笑ってしまった。

そして何より、11月の石川大会をDAZNで見ていたときだった。TOで突然「とり野菜みそ」と言い出したり(どうやら、石川大会の会場に一面に貼られている「とり野菜みそ」の広告めがけて打てと言っていたようだ。もちろんスポンサー企業への配慮もあっただろう)、作戦を伝えているときに「あ、間違えた」と言って選手たちに笑みがこぼれたり、わざと間違えたのかもしれないけれどつまり笑わせて選手たちを和ませる監督なんだな、と。

私は坂本監督を全く知らなかったんだけど、調べると元々はFC東京の監督だったという(私、サッカーも東京サポなので男子はFC東京ファンです。もっとも今年ホームゲームに一試合行っただけでしたが)。しかも最後はGMも務めていた。

男子バレーをPFUに持ち込んでいるのか、はわからないけれど、FC東京も降格こそ免れていたけれど毎年下位に低迷していたので、下位でどう戦うか、とか入れ替え戦の経験はあるという点ではぴったりの監督とも言えるだろう。

ただ、個人的にはPFUの補強戦略が大きく変わったのはもしかしたら坂本監督の力が大きいのかなと。①に書いた、的確な選手の補強や、他チームの内定選手の獲得、というのは明確な戦略があってのものだったと思う。そう考えると、もしかしたらGMとしての坂本監督の手腕が発揮されたのではないだろうか…とも取れる。

いわばGM兼監督、という立場にいるのかもしれない。坂本監督の経歴はわからないけれどPFUとの接点はなさそうだし(出身も東京だ)、それなりの厚遇(つまり補強方針も一任等)によって招かれたのではないだろうか。

実際のところはどうかわからないけれど、一連の補強戦略は間違いなく筋が通った、明確な方針に基づいて「遂行」されている、という感じ。そう、「PFU再生プロジェクト」とでも言おうか。

坂本監督は早くもチームだったりファンには親しまれているようで、よくある選手全員の断幕に坂本監督も登場していたり(他のチームにもこの手のものはあるが、監督まで載っているのは見たことがない)、何より「俺達の将康」という断幕まで登場していた。

でも、確かにそんな感じなのだ。この坂本監督はまさに「俺達の」と言う言葉がしっくりと来る。監督として上に立つというよりは「仲間」。そんな感じだ。

ちなみに個人的な話だが、坂本監督とは同い年なのでその点でも親近感がある。こういう大人になりたいと思う。