風の谷の東レアローズ19/20ファイナル

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

チームという面でいえば。

今季もさまざまな選手が成長を遂げたと思う。特に私が思うのは、大野選手と関選手だ。大野選手はアタック決定率が46.2%でカンファレンス2位となるなど、ブロックだけでなく点を取れるアタッカーに進化した印象があった。正直言えば選手生命としては後半なんだけれど、まだまだ進化し続けるぞという凄みを見せつけられた。

関選手については、進化というよりは私の見方が変わった、という方が正しいかもしれない。

私は元々セッターは、柔らかいトスを上げる選手が好きだ。柔らかく、ふあっとしたトス。そこに女性らしさを感じるから、だろう。その点では日立の佐藤美弥選手が私にとっては一番だったし、出番は減ってしまったけれどデンソーの田原選手もそうだ。最近気づいたけれどトヨタ車体の山上選手も、KUROBEの小西選手も私の中ではその分類だ。

そういう趣向があったから、というのもあるんだけれど、親しくさせていただいている日立のファンから関選手を絶賛されても「そうなん?」という感じだった。その理由が、わからなかった。

試合を見ていて、というよりこれはその後にDAZNで見て気づいたのだけれど、関選手で注目すべきはトスではなくトス「ワーク」なんだと思った。12月のトヨタ車体戦でのことだった。長いチャレンジの後の最初のプレーで、解説の横山さんが予言した通り、関選手がMBを使った速攻で得点したシーンがあったのだが、これが関選手の真骨頂なのかなと。

イヤな流れを断つ、攻めのトスワーク。

どのシーンか忘れたけれど、交代して入ってきた選手にすぐにトスを上げるのも関選手の特徴かなと思った。選手が変わって相手チームが混乱している中ですぐにその選手を使う、というのは相手にダメージを与えるし、そして使われた選手もすぐに試合に入れる。

そんな、強気のトス「ワーク」というのが何よりの彼女の持ち味なのではと気づいた。しかも、ベンチ裏だったり、サインを出す時に向かい合う形となるエンドで見ていて、彼女はとにかく声を出して選手たちを鼓舞するなあ…と。そんな姿も印象に残った。

前にこんなことを書いたんだけれど、

それもあって、試合中に彼女に声をかけることが多くなった。あれだけ大声で選手を鼓舞し続けているのだから、逆に誰かが彼女を鼓舞してあげなければ。

なので間違いなく今季一番声をかけた選手は彼女だ(推しの選手の出番は少なかったし)。

話がそれたけれど、関選手も当然進化したわけだけれど、それにつられて私の試合、そして選手を見る目も変わっていった。バレーボールという「競技」への理解が深まった。

一方で、昨季の準優勝から6位に落ちた、というのも現実だ。何が原因なのか。これについてはいろんな意見が噴出すると思うけれど、私は誰が原因でもなく、みんなだ、と思っている。前に「個々の力を伸ばすことで、チームとしての総合力を高めていた」と書いたけれど、結局はその総合力が足りなかっただけだ。監督、コーチングスタッフ、編成、事務局は言うまでもなく、ましてや選手個人に矛先が向かうのは違うと私は思う。