もっとも、当初は日本でいうこの日のロレンネ選手の存在は石川選手だったわけで、これは致し方なかったと思う。OHの控えをリリーフサーバーメインにすべきではなかった、のかもしれないが、サーブで相手を崩すという戦術ではこれも作戦だったのではないだろうか。
流れを変える存在や、戦術も必要だったのかもしれないが、これが大量リードを奪われたらそうする必要もあっただろうけれど、今コートにいるメンバーで点差もそんなに開いてなければ、大胆な手を打つ必要もなかった。
第五セットは明らかにバテていたし、追い上げられたことでのしんどさも加わってしまったと思うが、ここまで来たらメンバーを変えずに最後まで完走すべきだったと思ったし、その通りになった。
ここまで勝ち上がってきた、今コートにいるメンバーに賭けた、ということだろう。
もう一つ言えば、今コートにいるメンバーに賭けられた、とも言える。
どういうことか。2年後のパリ五輪を見据えているからだ。
その点では収穫がめちゃくちゃあった試合だったのではないだろうか。国際舞台で貴重な経験を積んだ、2年後の主力メンバーになるべき佐藤淑乃、宮部愛芽世選手の大学生コンビ、ブロックを連発して完全に覚醒した山田選手、チーム最多得点をたたき出すなど奮闘した林選手、そしてバリエーションの多い攻め方でブラジルに的を絞らせなかった関選手…。個別に書きたい選手は何人もいるが、それは総括編でやります。
また、個人的に大きいなと思ったのは、これまで日本での開催の多かった大きな国際大会を、遠い海外でやれたことだ。この日のアペルドールンは、ガビ選手ファンが多いからなのか(トルコリーグでプレーしているから?)ブラジルの応援の方が多かった。井上選手がサーブを打つときにブーイングまで起きていたのはびっくりした(日本もそれだけのチームだと認められたともいえる)。
眞鍋ジャパンにとってはめちゃくちゃ大きな舞台を経験できたことは間違いない。少なくとも「このバレーは通用する」という手応えは間違いなく得られただろう。
ただ一方で、万全な古賀選手を擁して対戦をしてみたかった、とも思う。それは2年後なのだろう。