翌日の会社&学校に備えてやむなく寝ていた人も、「ブラジル相手に2セット先取!」と聞けば半分は起きただろうし、「フルセットにもつれ込んだ!」と聞けば9割は起きたんじゃないか。そんな試合だった。
2022年10月11日、オランダ・アペルドールン。世界バレー2022準々決勝ブラジル戦。なにせ一次ラウンドで勝利を収めた相手である。3か月前のネーションズリーグの決勝ラウンドで1セットを先取した相手である。同じグループのイタリア、中国と対戦相手を選べたとしてもきっとブラジルを指名したと思う。試合前は世界ランキング2位の相手だったけれど(日本は6位)、ワンチャンありそうな相手だった。
なんでそう思ったのか。一次ラウンドの勝利もあったけれど、一つは敗れたイタリアほど守備力は高くないし、そして中国、イタリア、ベルギー相手に1セットを先取されていたというのもあった。つまり、後半にしり上がりに調子を上げてくるチーム。相手が調子を上げてくる前に、先行逃げ切りなら勝機が…そう思っていた。勝てるとは思わなかったけれど、勝てるとしたらそれしかないと思っていた。
結果的にその通りになった。25-18、25-18、22-25、25-27、13-15。
よかったことはたくさんあった。みんな、持ち味を出して奮闘していた。そして、かつ、よく持ち味が引き出されていた。特筆するとすれば、石川選手のサーブはキレキレだったし、福留選手は再三にわたって好ディグを連発した(現地実況も興奮して褒め讃えていた)。山田選手にはもう、「ガビを止めた女」という称号を与えていいと思う。
山田選手のブロックもあったけれど、相手のエース・ガビ選手を機能不全に陥れていた。あんなに機能していない彼女を見たのは初めてだった(まあ、ここまで日本戦以外は全勝というのもあるが)。日本はブラジルをうまくハメていた。
流れが変わったのは第三セットだった。相手はダロイト選手に替えてロレンネ選手を投入したが、彼女が躍動した。ご存知の通り、昨シーズンは埼玉上尾に所属していた選手である。現役バリバリのブラジル代表がVリーグでプレーしていたこともすごいのだが(ただ、季節が真逆な北半球での初めてのプレーだったのもあったのか、思ったほどの活躍はできなかった)、Vリーグにいた分、彼女は日本人選手相手の戦いに慣れていたのではと思った。
一方、日本は途中から古賀選手を投入した。だが、試合に入れていない印象を受けた。プエルトリコ戦で少し出たもののオランダ戦はリリーフサーバーで出ただけだと考えると、負傷した足の状態は万全ではなかったのではないだろうか。