全方位型岡山シーガルズ

岡山シーガルズ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

似たような光景は、去年3月のファイナル3でも見ていた。第一戦をフルで勝ったJT。第二戦も東レ相手に第一セットを取り、第二セットも優位に進めている様子を見て、ああ、ボールに追いつけるかどうか、の数ミリの差が勝敗を分けるんだろうな…と思っていたが、今にして思えばボールを追いすぎて体力を消耗したのかもしれない。東レがそこまで狙っていた(ボールを追わせようとした)のかはわからないけれど、結果的にJTはそこから3セットを奪われ、ゴールデンセットも取られてファイナル進出を逃した。

あれと同じことになるのでは…そんなことも頭をよぎったのだが、むしろ一度経験していたことが選手たちにとっては力になっていたというか、第四セットを取り返した。一年前と同じ失敗をするわけにはいかない。その気持ちが選手たちを奮い立たせた。そんな印象だった。

迎えたフルセット。岡山は前日のセミファイナルで2-0から追いつかれながらも、頭を切り換えられたからなのかフルセットでは一転して15-7と優位に試合に進めて勝ち上がってきただけに、このフルセットも必ずしもJT優位とは言えないな…と思っていたのだが、第五セットはJTが岡山を圧倒して、見事に勝利した。

と、試合の感想はこんな感じだ。

岡山はよく戦った。岡山のバレーを貫いたし、どんなボールにも食らいついて、つないで、ドカーンではなくサッと決める、というスタイルはバレーボールに詳しくない人も魅了する、心を打つ内容だったと思う。

岡山のバレーを讃える人は多かったと思う。

でも、この日に限って言えば、岡山そのものを讃える人も多かったのではと思う。

試合前のことだ。ファイナルということでさまざまなイベントが用意されている中、両チームによる応援合戦というのがあった。そしてそこでは歓声の大きさで両チームの勝敗を決するというものだったのだが、コートにいた両チームの応援団に明らかな違いがあった。

JTは、コートに並んだ応援団とチアがその位置で団席、そして振り向いて反対側の客席に声を出すよう呼びかけていたのだが、岡山はチアが列から離れてコートの全方位、あちこちに散って、少しでも観客に近づいて呼びかけていた。岡山らしかった。

応援団は基本的に団席にいるし、団席にいるのは当然自分たちのチームのファン。応援するために団席に来ているのだから、彼らを盛り上げることが必要だ。

でも、何もファンは団席にしかいないわけではない。

そしてまた、ファンになってくれるかもしれない人が、相手の団席以外ならどこにでもいる。