ブレイクするー?眞鍋ジャパン【世界バレー2022編】

日本代表
all text and photographed by
Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

パリ五輪から逆算した佐藤、宮部愛の選出

今回のメンバーには現役大学生の佐藤淑乃、宮部愛芽世の両選手が入りました。代表選出時は代表人気を大学バレーにも波及させる他、正直話題作りの部分もあったのかなと思いました。「期待の新星」という言葉はメディア的にはありがたいですし、TBSでさんざん流れましたが、眞鍋監督が二人にけしかけて古賀選手にアドバイスを求めに行くというシーンがあったり。

もちろんいわば新入社員といいますか、かわいい後輩の存在というのは先輩たちにとっても欠かせないと言いますか、アドバイスしているうちに自分に言い聞かせていたり、なんて効果もあるわけです。アドバイスした以上は自分もお手本になるようやらなきゃ、という意識にもなるでしょう。

ただ、二人が世界バレーのメンバーに残るとは思いませんでした。もちろん実力で勝ち取ったものですが、中にはもう一つの代表であるAVCカップのメンバーを何で入れなかったんだという声も見られました。

これは二人のパワフルなサーブが、サーブ強化を掲げるチームの武器になる、という部分もありますが、それだけでなく若さゆえの爆発力にも期待していたでしょうし、2年後のパリ五輪の主力になってほしい、という期待も込めていたのではと思います。

つまり、今のベストメンバー、ではなく、2年後のベストメンバー、をイメージしていたのかなと。世界バレーは五輪と違って登録人数が2名多いのもあったと思います。

なお、眞鍋監督が立ち上げたヴィクトリーナ姫路に入れるため選ばれた、という方はもう読まなくて結構です。

チームと代表でやってること違う問題

代表戦を見ていてつくづく感じるのは、リーグ戦など普段チームにいるときにはやっていないこと、をやっている選手が多いのでは…ということです。まず簡単に言えば、速いトスを持ち味としているチームってどこかあったっけ?ということです。関選手はチームに得点源のヤナがいることもあって、速いトスよりはゆったりとしたトスが多いですし、井上選手など他のOH陣も普段そこまで速いトスは打っていないのでは。

あと、山田選手のブロードがリーグ戦より多かった印象です。やらないわけではないですが、普段は島村選手がいるので任せているというか。

まああと、そもそも内瀬戸選手はチームではリベロではないですし(!)、そして林選手もチームではライトではありません!今シーズンドルーズに代わる外国人は、同じ左利きのロウなので彼女が間違いなくOPでしょう。

普通、チームでやってないことを代表でいきなりやって大丈夫なのか、自分に合わないことを無理してやっているのでは、むしろチームでも代表と同じことをやっていた方がいいんじゃないか…とは思いますよね。サッカーでも、コンビネーションという点では同じチームの選手である程度固めた方がいいんじゃないか、と普通思いますし。

ただ、今回見ていて思ったのは、選手は普段のチームとは違うバレーボールを結構楽しんでいるのでは…と。代表では仮装というかちょっと着飾った感じ、といえばわかりやすいでしょうか。要は、普段できないことをやれる楽しさ、ですね。そしてそれによって自分のプレーの引き出しが増えるわけですし。

関選手で言えば、「こんな速いトスも打てるのか」というのは驚きでした。ただ、確かに小川選手のブロードのときのトスは速かったので、たまたまチーム的にやる機会が限られているだけ、なのかもしれません。ただ、東レでいうと代表に合わせて黒後選手をチームでもライト起用するようになったことはありました。これは代表と連携していたのか、それともチームや本人の意向なのか、はわからないですけどね。

普段からずっと一緒にいるチームと、期間が限られる代表、ではプレーの浸透や戦術の理解などに限界がある、というのがサッカーや野球などでは一般的ですが、バレーボールは代表にいる期間が結構長いので、そこはあまり関係ないかもしれませんね。サッカーなんかはW杯などを除けばリーグ戦の合間にあるいわゆる「代表ウィーク」で一~二週間だけチームとして活動したりとか、野球でもWBCは代表としての活動期間は一ヶ月半くらいですが、バレーボールは4月末から既に半年間ずっと代表の活動が続いていますからね。

選手たちが日常であるチームを離れて、代表というチームで生き生きと活躍している様子を、これからも皆さんと一緒に楽しめればと思います。

言いたいのは、やっぱり代表は面白い!

面白いけれど、代表は決して独立したチームではなく、日常であるリーグ戦の延長線上にある、非日常のチームだということです。平日がリーグ、土日が代表。リーグでの奮闘が代表につながっていくわけです。

早くも今月末に開幕する22/23シーズンを楽しんでいきましょう!

そして何より最後に。キャプテン古賀選手。ありがとうございました。あなたがキャプテンで本当によかった、とこれは選手、スタッフ、ファン、みんなそう思っていると思います。