全試合スタメン出場したセッター関選手の奮闘
代表としての国際大会は昨年のネーションズリーグが初めてで(といってもほとんど出番なしでしたが)、東京五輪にも選ばれず、眞鍋ジャパンになってから起用された彼女ですが、今年のネーションズリーグでは松井珠己選手とレギュラー争いをしていたところから、一気に正セッターの座をつかみました。
今大会の彼女を一言で言えば「奮闘」ではないでしょうか。いろんな選手の持ち味を把握し、それを活かす、ということを瞬時に判断していた、そんな印象です。もちろんこれはセッターなら当たり前のことではあるのですが、関選手は引き出しがより多かったと思います。
松井選手も関選手も、選手の特性を生かそうとしているところは共通しているのですが(籾井選手は昨シーズンそれほど見ていないのでここでは述べません)、自分で引っ張る主導性は松井選手の方が強いと思います。「私はこうする」という要素が強いのかなと。関選手は与えられた戦力をじっくり見てから、ではこうしてみよう、と組み立てを考える。いわば、食材を見てから献立を考える料理人ですね。
昨シーズンのネーションズリーグ、既にベスト4入りを決めていた日本は消化試合のセルビア戦を迎えたわけですが、そのメンバーが関選手含め控え組中心だったんですね。でも、選手たちがすごく楽しそうにプレーしていたのが印象的でした。普段試合に出ていないわけですし、即席に近かったと思うんですけれど、チームをうまくまとめていたなと思ったんですね。だから即席チームのオールスターとかめちゃくちゃ向いていると思います。
今回もMBでも登録された=それほど練習はしていない(と思われる)宮部藍梨選手をうまく使っていた印象でしたし、「彼女に任せておけば何とかしてくれる」という眞鍋監督の安心感はハンパなかったのではと思います。
一次ラウンドのブラジル戦のテクニカルタイムアウトで「自信もって」と軽く言葉をかけてましたけれど眞鍋監督もセッターですからね。関選手の気持ちもわかるし、より的確なアドバイスができたのではと思います。東レファンとしての感想ですが、関選手は基本的に思い詰めるタイプなので、眞鍋監督のような楽天的な人の方がちょうどよいのでは、とは見ていて思いました。
そして準々決勝のブラジル戦のテクニカルタイムアウトでも印象的なシーンが(一応開始位置を指定しましたが、最初からになってしまったら13:50からご覧ください)。
「セナ」と声をかけた後に眞鍋監督が笑った後に「最後は気持ちやから、お前なんもできないんやから、セッターは」と強く言ったんですね。恐らくなんですが、声をかけたら余裕のない表情をしていた(=思い詰めている)ので、全部自分で背負い込むな、という激励だったと思うんですよね。
こういう風に背負い込みがちな彼女に肩の力を抜けさせる(このときは気合を入れたとも言えますが)メッセージを発せられるのは眞鍋監督らしいなと。関選手にとっては眞鍋監督との出会いは大きかったんじゃないかな(菅野さんなら喝しか入れないし…ボソッ)。
普段のチームと代表というチームは性質が異なります。一言で言えば日常と非日常。会社で言えば普段所属している部署と、組織横断で行われる特別プロジェクト。どっちが向いているか、は人によって異なります。関選手は後者が向いていた、ということでしょう。
あと、彼女よく走りましたよね。スタミナはハンパなかったと思います。二次ラウンドで勝ったブラジル戦の最後の、倒れ込みながら放ったアンダートス、が今大会の彼女のベストプレーだと個人的には思います。
最後に。私は東レファンではありますが松井選手派でした。それは今でも変わりませんが、関選手を過小評価していた部分があり、そこは申し訳なかったです。