ここからはミラーレスの機種ラインナップについて、私なりに整理します。
二つに分けられるラインナップ
ラインナップは大きく分けてこの二つに分けられます。
「高画質機」「連写機」
まあこれはミラーレスに限った話ではないのですが、人がカメラに求める性能ってこのどちらかに大分されるんですよね。ポートレートとか風景を撮りたい人は高画質機、スポーツ、鉄道・飛行機、鳥といった動いているものを撮りたい人は連写機。雑に分けるとそうなります。
高画質機は画素数が高い代わりに連写機能は落ちる。連写機はその正反対で、画素数が低い代わりに連写機能は上がる。なんでかというと理由は簡単で、画素数が高いとその分データ容量が増えるため、カードの書き込みに時間がかかることになり、連写に向かないんですね。こちらも雑に言うと、1秒のシーンを1枚(10MB)で撮るのか、分割して10枚(1MB×10)で撮るのか、ということです。
なので機種選びの際はどちらを重視するか、が大きなポイントになります。一瞬を大きく切り取るのか、その一瞬をより細かく切り取るのか。ただ、高画質と言ってもそれは紙で大きく出力したいとかそういう場合に求められるもので、WEB、特にSNSに載せるだけ、という場合は画質を下げて連写を重視、でもよいと思います。スポーツの報道の世界でも連写機が求められているのは、最近はニュースの出し先が紙ではなくWEB中心だから(高画質でなくていい)、というのもあります。
ちなみになんで私が報道の世界という言葉をたびたび使っているかというと、ソニーのα9iiを検討していた時に、カタログがそういう唱い方だったんですよね。報道の世界だと撮った写真をすぐにアップする即納性が求められるので、画素数を抑えることで容量を抑えていることもさることながら、有線・無線LANでデータ転送もしやすくしているんです。
カメラメーカーにとってこういう報道のプロカメラマンの世界は大事なお得意様。そして彼らのニーズがカメラの性能向上につながっているといっても過言ではありません。
各メーカーもプロ、そして一般ユーザのニーズに合わせたラインナップを揃えています。ここからは各メーカーのラインナップなどの特徴を説明します。一言にミラーレスといっても、メーカーによって戦略といいますか、考え方が結構異なっています。ここは私なりにまとめた主要各メーカーの特徴です。いずれもこの記事を書いている2022/12/13時点です。
ミラーレス市場で急成長のソニー
フラッグシップ機→α1 高画質機→α7シリーズ(α7RVで6250万画素) 連写機→α9シリーズ(α9iiで最高約20コマ/秒)
プラスポイント
・軽い&小さい ・センサーを自社開発かつ供給する立場 ・ダブルスロットでSDカードもダブルで使える ・自社、互換含めレンズが多い
マイナスポイント
・CFexpress Type Aカードが高い ・連写機の新機種が出ていない
一眼レフは基本的にニコンとキヤノンの二強だったのですが、ミラーレスになって一躍勢力を伸ばしているのがソニー。なんでかというと、ビデオカメラでの豊富な実績をミラーレスに持ち込みやすいからと思います。ミラーレスはわかりやすくいえば動画をキャプチャしたものが写真だ、と書きましたが、となるとビデオカメラの技術が思いっきり生きるんですよね。そもそもビデオカメラなんてカメラより先に市場が縮小したわけで(今ではすっかりスマホ)、それもあってか、ミラーレスへの取り組みはどこよりも早かったと思います。活路を見出したというか。
そしてラインナップも豊富です。特にスポーツ向けの連写性能が高いα9シリーズは、2017年には既に発売していましたし、α7シリーズは2013年に登場してもうV(ファイブ)まで出ています。
また、軽さもソニーの特徴です。フラッグシップ機はいわゆる縦グリップもついて一回り大きく、かつ重くなりますが、ニコンのZ9は約1340g、キヤノンのEOS R3は約1015gのところ、α1は約737g(いずれもバッテリー、メモリーカード含む)と、Z9のほぼ半分と言えます。もちろん縦グリップがついていないからこその軽量化ではありますが、縦グリップが必要な人は買い足せばいいわけで、そこを利用者が選べるようにしたのはいいことだと思います。
そしてこれは後発でキヤノンとニコンの牙城を崩すためだったと思うのですが、対応レンズも多いです。自社以外の、タムロンとシグマにもおそらく仕様を積極的に開示しているのでしょう、この両社のラインナップも多いです。
と、いいことばかり書いてきましたが、デメリットもあって、それはSDカード以上の書き込み性能を誇るCFexpressカードがソニー独自のType Aということ。Type Bはニコン、キヤノン、富士フイルムと採用しているメーカーが多いのでその分価格もやや抑えられていますが、Type Aはソニーだけなのでやや高いです。例えばType Bは128GBで1.6万円ですが、Type Aは160GBで4万円近くと、容量が少し違うとはいえほぼ倍です。
ただ、Type AはSDカードとサイズが同じなので、比較的安価なSDカードを使えるメリットがあります。ダブルスロットは各社採用してますが、Type B+SDカードの組み合わせというダブルスロット、が基本で(キヤノンでもR6 Mark IIやR7のようにSDカードのみのダブルスロットはあります)。でも、ソニーはType AかSDカードどちらかを同時に2枚使えるのは大きなメリットです。
また、連写機であるα9iiは2019年11月の発売以来3年以上出ていません。高画質の7シリーズは新機種も多く出ていて、高画質シフトが明確だと思います。とはいえα9iiiの噂もあるので、待たされた分大幅に性能が向上している可能性はありますね。