ブレイクするー?眞鍋ジャパン【世界選手権壮行試合編】

日本代表
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

私は今回の壮行試合は岡山しか見ていませんが、そこでびっくりしたのがこれです。

姫路の企業によるスポンサード

今回会場には、佐和めっき、GLORY、yamato、ノバックと、ヴィクトリーナ姫路のホームゲームでも見かける企業広告がエンドに出ていてびっくりしました。姫路での試合だけでなく岡山でも掲出されていたわけですから、要は、この壮行試合専用のスポンサーを取ってきたということですね。言うまでもなく、スポンサーがつくということはそれだけ代表に使える活動費が増えるということです。

姫路で試合をするからスポンサーがついたのか、スポンサーがつくから姫路でも開催したのか、はわかりませんし、過去もこういう壮行試合で開催地の企業がスポンサードしていた事例はあるかもしれませんが、ああ、眞鍋監督らしいなあ…と思った次第です。極端に言えば「壮行試合やるなら、選手の負担のないよう、薩摩川内から東京の帰り道にやろうよ。あ、姫路だったらスポンサー連れてこられるかも」という…。

岡山の翌日に姫路に行ったのですが、会場となるヴィクトリーナ・ウインク体育館にはこのような歓迎の幕が掲出されてましたし(これは、ここで合宿をするからという側面もあるでしょうが)、姫路という街としてのバックアップが伝わってきました。ちなみに岡山でも副知事と市長(シーガルズの試合でも愛あふれる挨拶をされていたことがあります)が試合前に挨拶していました。

つらつら書きましたが一番言いたいのはこれです。

夏フェス感覚の壮行試合

今回会場にいらしたファン層が、とにかく若かったなと。特に女子学生が非常に多かったですね。そもそもチケットもアリーナは完売でしたし、代表ファンって多いんだな…というのを改めて感じました。しかもユニフォーム着用率も高くて。6000円と決して安くはないのですが、買う方が多かったですね。

なぜこれだけ若いファンの方が多かったか。現地で感じたことは以下です。

・夏休みの思い出作り

当たり前ですがこの時期は学生さんは夏休み。時間もあるし、親御さんも遠出を許してくれるでしょうし、そしてまたそれなりにお金もつぎ込めるタイミングでしょう(バイトで稼いだりお小遣いをもらったり)。チケット価格も男子は最高で3.6万、アリーナでも最安1.2万のところ女子はそれぞれ1.2万、7千円ですからね。

ファンの中には手作りのボードを持って来た方もいましたし、ほんと、みんな楽しみにしてきたんだなあ…と思いました。

・18きっぷでも行ける場所

男子は沖縄だったので飛行機かフェリー必須ですが、女子は岡山、姫路と関西圏の人は行きやすいし、東京の人はちょっと大変だけれど、ただこの時期使える青春18きっぷで行ける場所なんですよね(実際愛知からそれで来た方も)。また岡山も姫路も、新幹線停車駅からのアクセスがいい(岡山は徒歩圏内、姫路も私鉄で一駅)のもよかったなと。

・普段会えないファンが一堂に会する

SNSなどで仲良しのフォロワーさんも、応援しているチームが異なれば、会えるのはリーグ戦でそのチームと対戦したときだけ。その対戦も場所が遠かったりすれば行かないわけで、となると会う機会は非常に限られます。

その点代表戦だとみんな来るんですよね。あと、推しの選手が代表に選ばれていなくても来ていた方も多かった印象です。特に今回久光の選手は一人もいませんでしたけれど(井上選手は移籍したので)、ファンの方たくさん来てましたからね。もっとも、代表に選ばれているからチケット発売時点で壮行試合にも出るだろうと買ってしまったから来た、という方も多かったでしょうが。

・代表でしか見られない選手の存在

これは男子は顕著ですよね。石川祐希選手、髙橋藍選手はVリーグでは見られませんから。今回の代表で言えば佐藤淑乃、宮部愛芽世両選手の大学生コンビ、そして宮部藍梨選手(今季から姫路)、移籍が決まった井上愛里沙選手がそれに該当します。

特に佐藤淑乃選手はネーションズリーグでも活躍していましたし、彼女を見たいというファンも多かった気がします。夏フェスで言うと海外アーティストというところでしょうかね。

・勝ち負けがない

応援しているチームに勝ち負けがあると、ファン同士がギスギスすることもあるでしょうが、今回の壮行試合は一応勝ち負けはありましたけれど、チームは都度シャッフルしてますからね。誰も悲しまない試合でした。その点でも勝ち負けという概念のない音楽の世界と似ていましたね。つまり夏フェスです。

とつらつら挙げましたが、タイムラインを見ていても、いらした方の満足度も高かった印象です。いい思い出が作れた、というのが伝わってきましたね。実際、岡山だけのつもりが、急遽姫路も行くことにしたという方もちらほら見かけましたし。

それは、男子と比べてチケット価格が安かったことと、アクセスの良さ、も大きかったと思います。若い女子層を見事に取り込んだと言えるでしょう(男子のやり方も間違ってはなくて、これは単にそれぞれが立てた戦略の違いでしょう)。

一つ大きかったなと思ったのが、サインボールの投げ込みがあったことです。こういう状況なのでリーグ戦も含めてしばらく行われていなかったのですが、今回試合後に行われて。これも満足度向上につながったのではと思います。

なので、この代表の壮行試合、毎夏に興行としてやるべきだと思いました。だいたいバレーボールって夏から秋に大きな国際大会があるので、やろうと思えば定期開催もできるわけです。バレーボールの夏フェスとして、これはぜひ来年も期待したいなと思いました。