東京の真ん中に広がる原風景~東京スリジエの挑戦 第二章~

Vリーグトーク
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

空白地帯という点では。東京スリジエは男子も女子も、都内の高校や大学生を相手に練習試合をしていることが多いのですが、学生からしても元Vリーガーのいるチームとの試合は何より生きた教材になると思うんですよね。いわば巡業です。

先日行われたクラブカップに男子は出場したので、男子は今後は地域リーグでも戦っていくのかもしれませんが、Vリーグでも地域リーグでもない、いわば独立リーグとして学生のチームなどとの対戦をしていくのも面白いかなと思いました。特に女子はまだ地域リーグに参入できる余裕はないと思うので(MBが一人しかいません)、今後どういう方向を目指すのかはわかりませんが、東京スリジエが主体となって独立リーグを形成するのも面白いのでは。

今は無観客の試合も多くてなかなかできませんが、バレーボールファンはVリーグのない間は黒鷲旗、大学リーグ、サマーリーグ、親善試合、地域リーグ、国体、中部総合などの地域総合…等々、年中渡り歩く人も多いんですよ(私はそこまでしませんが)。何より私自身、正直申し上げてVリーグがオフシーズンなので、東京スリジエを見に行けているのが実情です。Vリーグが開幕したら見に行けないです。

なので、Vリーグがオフの間に、独立リーグとして長期のリーグ戦を独自に作ってしまうのは面白いのではと思いました。昼間の人口は多いわけですから、千代田区で働いている人が就業後にサークルとしてチームを結成したり、東京スリジエに続くチームが出てきてもいいわけです。これだけ人がいれば、バレーボール経験者もどこかにはいるはずです。千代田区の強みは、昼間の人口の多さなのですから!

何でこんな話をしているかというと、前の記事でも書きましたが千代田区にはillmassiveという、サッカーチームの基本である都道府県の協会への加入をしていないけれど、公式戦には出ているチームがあるからです。まさにそれと同じです。学校もたくさんある東京都心を拠点とする東京スリジエだから、できることだと思います。Vリーグがあるときも平日の夜に都心でリーグ戦を開催すれば、そこそこは駆け付けてくれるバレーボールファンもいるのではと思います。だって、リーグ戦は週末ですし、都心だったらそこへ出勤しているファンも多いでしょうし。

と、勝手にではありますが、いろいろな構想が膨らんでくるわけです。

そして何より。これは何もファンだけではないと思います。選手たちもどんなことをしよう、どういうチームにしようというのをいろいろ模索しているのでは。

私は学生時代にスポーツ部に入っていたのは中学のときだけだったのですが、Vリーガーの方々は、基本的に子供の頃からずーっとバレーボール一筋だったと思います。となると、いわゆる体育会と言いますか、能動よりは受動だと思うんですよね。監督、コーチ、先輩の言うとおりにやる。Vリーグだって規程だらけです。

でも、このチームは自分のしたいようにやれる、能動で動ける要素が多いと思います。チーム自体Vリーグに入っていないからそこに縛られる必要もない(なので私は、Vリーグの規程に文句ばかり言っているチームは、Vリーグを離れて自分たちでリーグを立ち上げるべきだと思います。その考えが正しいものならば追随するチームもあるはずですし、今のままではただの負け犬)。

だから、このチームの選手たちはとても楽しいんじゃないかなあ。Vリーグだけがバレーボールじゃない、わけですよ。もしかしたら東京スリジエに来て初めてそう気づいた選手もいるんじゃないかな。

選手たちが能動で動く。とらわれるものもなく自由に動く。だから、このチームが今後どんなチームに変化し進化していくか。どんな桜の花を咲かせるのか、がとても楽しみなわけです。

数年後に「千代田区立スポーツセンターで試合をしていた頃の東京スリジエを見ていた」なんて言えたらいいなあと思います。いや、やっぱりそこは今のままでいいかな。でも、いつかは千代田区民で埋め尽くされた大きなアリーナでの試合とか見てみたいじゃないですか。でも千代田区に大きなアリーナなんて…。あ。あった。日本武道館!とか(笑)。

選手の皆さんはどんな思いで活動しているのか。どんな構想や夢があるのでしょうか。

※この記事を書き終わった後に、西村美穂選手の加入が発表されました。3月末に退団した福岡ギラソールからの、いわば移籍です。これでMBは二人体制になりました。