東京の真ん中に広がる原風景~東京スリジエの挑戦 第二章~

Vリーグトーク
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

このエキシビションマッチはCerise会員(ファンクラブ)、そして千代田区内の中学校バレーボール部員を対象していたのですが、観客席は中学生たちがメモを片手に熱心に見入ってました。

前の記事で、千代田区はオフィス街や官公庁街なのであまり人が住んでいる雰囲気がない、ということを書きましたが、同時に地元の子供が通う小中学校があるイメージもないんですよね(ちなみに区立の小学校は8、中学は2です。他に私立があります)。ですが、もちろんいるわけです。

無機質なビルの立ち並ぶ千代田区に人の住んでいる匂いがする、というのはなんともいいものです。もっとも、この千代田区立スポーツセンターの一帯がたまたまそうであって、神田や麹町の方に行けばまた違いますけどね(それでも住宅街、というものからは程遠いですが)。

話がそれましたが、そんな地元の子供たちにすれば、大人たちのバレーボールの試合を生で見られるというのはとても貴重な機会なわけです。というよりもはや授業ですよね。子供たちも熱心にメモを取ったり、ジャンプサーブの選手の時は間近で見ようと移動したり、ものすごく参考になったようです。しかも、元Vリーガーがいるのですから!格好のお手本なわけです。

試合の後には、男子の選手も参加してバレーボール教室が行われました。男子も加わることで、生徒と一対一になるようになっていたはずです(この時点でエキシビションマッチは終わったのと、教室を見るのはちょっと違う、いるべきではないと思ったので私はここで帰りました)。

地元の子供たちを招待し、試合を見せ、その後にはバレーボール教室を開く。これ、Vリーグのチームもやっていることです。子供向けに教室を開くことはVリーグのライセンスにも規定があり、いわば義務です。なので東京スリジエが特別なことをしているわけではありません。

ただ、我々はVリーグのチームのそういった活動を目にすることはあまりありません。そもそも開催を公表していなかったり、一般公開していなかったり、で、ファンはそれを見られないわけです。いや、見せろと言っているわけではありません。見られないから、この様子を見ていてああ、Vリーグの原風景だなあと思ったわけです。私の推しのチーム(東レアローズ)だってこういうことをしているんだなあ、と思いを馳せられるわけです。

あと、こういうものは地域振興という形でホームタウンを中心に行われますが、何度も言いますがここは東京のど真ん中。でも東京のど真ん中だって人は住んでいるし、子供だっている。いわば地域振興から一番遠いところにいる(ように思える)のが千代田区なのかなと思います。私だけかもしれませんが地域振興=地方都市でにぎわいを…という感じじゃないですか。

そのギャップ?が楽しいのかもしれませんね。前の記事にも書きましたが、東京は空白地帯なんですよ。そして、そこにいるからこそできることがあるのでは、という話に続きます。