セッター:目途
OH、MBと違って東京五輪からの継続性がないポジションということで(ポジションのメンバーが少ないのもありますが)、果たしてどうなるかと思いましたが、関菜々巳、松井珠己の両選手を競わせ、かつ適性を確認していたのが今回のネーションズリーグだったと思います。そしてそれはメドが立ったと思います。
関選手も松井選手も、背格好も似てますし、ミドルの使い方などタイプは似ている印象を受けます。若干、関選手はオーソドックスという感じかな。同じトスワークでも関選手は選手の特徴を生かすタイプですが、松井選手はもう少し強気というか、やや主導するタイプかなと思います。そういう点でどう使い分けるか、を見極めていた印象ですね。それこそ、どっちが先発or途中投入での立て直しの方がいいか、そんなレベルからチェックしていた気がします。
私自身はどちらがいい、というのはありませんが(松井選手の方が好きではありますが)、一つ思ったのは、ボールへの入り方です。関選手はいち早く落下点に入って、そこから待ってボールを受ける(トスを上げる)印象がありますが、松井選手は落下点に最短距離で達するようにジャンプしながら入る。つまり待つのではなくボールを自ら迎えに行く、そんな違いがある気がしました。
野球だと、外野手が捕球するときに落下点に入って取るのと、ランナーがいてタッチアップを防ぐために捕球後すぐに投げる必要がある場合は、助走をつけて捕球しにいくんですよね。そうすると勢いのあるボールがすぐに投げられます。
それもあって、トスワークのスピードは松井選手の方が速かったです。速いバレーを志向するなら松井選手の方が一番手に来ると思いますね。ただ、普段デンソーでやっているかといったらちょっと違うので、要は慣れないことをやっている印象も受けました(関選手ももちろんそう)。
宮下選手はおそらく若いセッター二人(関選手は代表歴ありますけれど大舞台は出てないですし)に、五輪出場経験者としてのアドバイスなどを送る立場だったのかなと思います。ほとんど出てないですしね。なので世界選手権は今回の関、松井のコンビで行くのではと思います。
※これを書いた後に、8月の壮行試合のメンバーが発表され、東京五輪に出場している籾井選手が入りました。
リベロ:固定
完全に小島満菜美選手一択でしたね。固定したのはよかったと思います。テクニカルタイムアウトでも積極的に話してましたし、個人的にはオーバーのトスが結構多かったなと。まああと、今回のメンバーの最多勢力(古賀、島村、山田を含む4人)だったNECの選手というのもやりやすかったんじゃないかなと。大黒柱の古賀選手を支える点でもよかったなと思いますね。
というのが私の感想ですが、今回チームとして見たときに一つ大きいなと思った骨格があるんです。それは
キャプテン・古賀紗理那というヒエラルヒー
私は東京五輪の総括で、チームにヒエラルヒーがなかったと書きました。しいて言えば中田監督だったんじゃないかというくらい、選手にはなかった。
今回のネーションズリーグ、というよりその前の合宿を含めてその過程もひっくるめて、なんだろう…古賀紗理那を「キャプテン」にするための日々だったのかなあ。キャプテンマークの横棒を太くするためのものだった、と思うんですね。
下記の木村沙織さんとの対談では本人はキャプテンを打診されて、即答しなかったそうですが、「1日考えて」と、なんと短期間な回答期限を設けた眞鍋監督にいわば促された形になって引き受けたわけです。
話がそれますが、この1日という回答期限が眞鍋監督らしいなあ…ゆっくり考えて、とかではなく短期間で決めさせる。それは本人の度胸というか、覚悟を確かめる…というよりは、覚悟を決めさせる、腹をくくらせるためのものだったのかなと。長い時間かけて逡巡することも大事ですが、スパッと決めることも誰にしもあると思います。後者の方がどこかスッキリしません?そういうことです。
ちなみに眞鍋監督は「木村沙織は回答まで1ヶ月かかったけど古賀紗理那は翌日だった」と冗談交じりで言っているのがほんと、眞鍋監督らしいなと(笑)。
キャプテンとしてどうあるべきか、というところはご本人もいろいろ試行錯誤だったと思いますが、これはネットには上がっていないのですが、「裸のアスリートII」というBS-TBSの番組で眞鍋監督が取り上げられていた際、大学生で参加していた佐藤淑乃選手と宮部愛芽世選手が眞鍋監督にけしかけられて古賀選手にサーブレシーブのアドバイスをもらいに行ったんですね。そのとき古賀選手は宮部選手に「ちゃんと返ってるよ。ただやる気ないだけじゃん」「知ってるよ私。”自分打ちます”みたいな感じ。だからやる気の問題だよ」と、笑いながらさらっとダメ出ししたんですよね。嫌みもなく、さらっと。
こういったドキュメンタリーなどから見ていても、選手間での会話が多くてオープンだから嫌味も感じないんだろうなあと思いましたし(陰で言われているよりは面と向かって言われた方が、ね)
今回のネーションズリーグでは成績でも引っ張りましたし、キャプテン・古賀紗理那というヒエラルヒーができたと思いましたね。
ただ、ヒエラルヒーとして君臨するのではなく、ハブになっている感じはしました。年輩の選手と若手をつなぐハブ。会話の中心といえばわかりやすいかな。ファンのことを考えてなのか、期間中もインスタを頻繁に上げていましたのもよかったですね。
それなりに古賀選手を長く見ている身としては、ネーションズリーグが終わってその締めくくりとして投稿したこのインスタが全て、です。
結果が全てなのですが、、、
古賀紗理那選手のインスタグラムより
みんな頑張った!!!!!
みんなで頑張った!!
次は今回足りなかったものを補い合って頑張ればいい!!
と、自分たちを認めることも大切😊
パリ五輪を目指して再起を図る今のチームが、このキャプテンでよかった…とつくづく思います。