ブレイクするー?眞鍋ジャパン【VNL2022編】

日本代表
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選手編はポジションごとに、キーワードを挙げてお話しします。

アウトサイドヒッター:最適解

さまざまなパターンを試したアウトサイドヒッター陣ですが、古賀紗理那、井上愛里沙、オポジットに林琴奈の各選手、という形が一番機能した印象です。ここに、リリーフサーバーだったり不調時の交代要員として佐藤淑乃、そして石川真佑の両選手が補完する。これが今回でできた骨格だったと思います。現時点での最適解を見出したと言えます。

特に井上選手は代表に選ばれてもなかなか機会がなかったのですが、最多得点部門の日本記録を更新した昨シーズンの実績を引っ提げて、ようやく出番が回ってきたという感じです。そのうっ憤を晴らすような活躍でしたね。

また、林選手はいわゆる打ち屋ではないオポジット像を確立した印象です。野球に例えればオポジットは大砲タイプの四番打者。でも林選手は小技も使えるつなぎの四番、という感じでした。野球もパワーなどの体格差で劣る日本は、送りバントなど小技を絡めるスモールベースボールで戦うのが基本なのですが、同じように体格差のあるバレーボールでも同じ形で挑むのは必然かと思います。

林選手はいわばその象徴となる存在かなと思いましたね。もっともチームではドルーズがオポジットでしたし、代表では所属チームと違うことをしているというのもなんとも。

また佐藤選手も、いわば代表でのルーキーとして、伸び伸びと活躍した印象です。プレッシャーをものともせず、という感じで頼もしかったですね。一方石川選手はやや不調でした。東レファンとしてそれなりに長く見ている身としては、たまにぶち当たる壁がここで現れたなと。そんな中でもリリーフサーバーなどで活躍したのはよかったと思います。

ちょっと思ったのですが、石川選手のオポジット起用も面白いかなと思うようになりました(かねてから提唱していた人はいたのですが、そのときはフーンくらいにしか思ってなくて)。器用な選手ですし、林選手よりパワフル、という点で新たなオプションになる気はしましたね。

※これを書いた後に、8月の壮行試合のメンバーが発表されました。ここにどう内瀬戸、そして宮部姉妹の各選手がどう食い込んでくるか、ということでしょう。

ミドルブロッカー:競争

今回帯同していたメンバーは、島村春世、山田二千華、横田真未、小川愛里奈、そして濵松明日香の5選手(順不同)でした。山田選手は東京五輪のメンバーでしたが、出ていた時間はわずかでしたし、今回のネーションズリーグは実質代表デビューと言っても過言ではなかったと思います。なにせ不動のレギュラーだった荒木選手が抜けたわけですから、世代交代がカギを握るポジションだったと思います。

島村選手の活躍は言うまでもないですが、それ以外の選手については、評価が難しい部分があります。まず山田選手ですが、こればかりは起用法がよくわからなかったですね。フィリピンラウンドではベンチ外になりましたし、ファイナルラウンドのブラジル戦でも第1セットで早々に下げられちゃいましたし。不調だったのかもしれませんが、もう少し辛抱して起用してほしかった、というのが個人的な感想です。

起用してほしかったという点では横田選手もです。フィリピンラウンドでの中国戦はある意味本領発揮という感じでしたね。攻撃に守備にバランスがいい(どちらかと言えば守備)選手だと思います。でも登録されたのはフィリピンラウンドだけだったんですよね。今回のネーションズリーグで一番納得がいかなかったのが横田選手の起用法でした。ブラジル戦で山田選手を下げるのなら入れるのは横田選手であるべきでした、ということだけは言いたいです(もっともベンチにもいなかったのですが)。

さて、横田選手同様初選出となった小川選手。しかもネーションズリーグの開幕戦でいきなり起用され、それだけ期待も高かったということでしょうかね。なにせアタック決定率はリーグ3位(日本人1位)ですし、ベスト6。代名詞の高速ブロードなどその攻撃力を期待されての選出、そして起用だったと思いますが、思いっきり世界の壁に阻まれたという印象です。Vリーグでは通用するブロードが、世界の舞台では簡単には通用しなかった。それは身をもって学んだのではと思います。

持ち味の攻撃力をさらに高めるために世界に通用するブロードを目指すのか、クイックを磨くのか、はたまたブロックを鍛えるのか…その岐路に立たされた舞台だったのではと、推し目線で思います。どの道を目指すかはご本人が決めることなので、素人の私はこれ以上言いません。

濵松選手はフィリピンラウンドから召集されましたが、もしかしたらMB陣の誰かに何らかのアクシデントがあったのかもしれませんね(ご本人の事情だったかもしれませんが)。ただ、島村、小川、濵松の各選手は守備型というよりは攻撃型の選手なので、そのバランスは気になりました。世界選手権ではこの中から誰かは抜け、そして守備型である山田、横田、そしてもしかしたら今回の召集外メンバーからも呼んで選考をするのかも。

※この攻撃型、守備型というのはあくまで私の概念によるものですし、また選手の分け方もあくまで主観です。
※これを書いた後に、8月の壮行試合のメンバーが発表され、麻野選手が入ってました。

この辺は島村選手以外は、まだまだ激しいレギュラー争いが繰り広げられそうです。ただ、これからを担う楽しみな選手がたくさんいる、ということは間違いないです。