新チーム続々誕生。地域リーグという「受け皿」に見るVリーグの未来図

地域リーグ
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~目指す最強の方程式~
ビオーレ名古屋(愛知県名古屋市)

設立:2022年
運営:社会福祉法人栄寿福祉会
監督:不在(記載なし)
選手:12人
公式サイト:https://www.viore-nagoya.com/

チーム名のビオーレは紫のviola、遊びのgiocare、賞賛のoleの各イタリア語を合わせた造語だそうです。紫のユニフォームってあまりないので目立ちますね(それもあって最初はぶどうのピオーネ名古屋かと 笑)。

しかし何より「日本初! 保育士を中心としたバレーボールチーム」というキャッチコピーが全てですね。あと、この動画とサイトに設立の経緯なども紹介されています。

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保育士で構成される“型破りな”女子バレーボールチーム「ビオーレ名古屋」 設立の背景と描く未来

動画、そしてサイトをご覧いただければこれ以上語ることもないのですが(笑)、要は、高校や大学を卒業して、働きながらバレーボールを続けたい人、今後生きていくためのキャリアを身につけたい人のために設立された、とも言えますね。

これを選手のニーズとすれば、「バレーボールを続けられることをメリットとして雇用を確保したい」という企業のニーズ。これらをマッチさせるための最適解として生まれたチーム、だと思います。

これ、今後バレーボールの競技人口を増やす…というより減らさないための大事なことだと思いますし、Vリーグの活性化につながるなにより大事な施策、ではないでしょうか。

世知辛い話になりますが、Vリーガーになれたとしても、選手として活動できるのは数年間。その後は社業に専念するわけですが、正確には社業に就けるだけでもありがたいですし、親会社を持つ実業団以外のチームだと、働き口の保証のリスクもあると思います。また、バレーボールしかやってこなかったわけですから、引退後に一からキャリアを積むというのも、特に資格が必要な職業については難しいわけです。

ところが保育士というのは、キャリアという点では結構強いと思います。共働きも増えていて保育士事業はまだまだ堅調だと思いますし(少子化や在宅勤務の増加で一概にそうとも言えませんが)、何より保育士って女性の憧れの職業でもありますよね。

その点では埼玉上尾メディックスや千葉エンゼルクロス、フォレストリーヴズ熊本のような医療や介護福祉が母体のチームと同じです。その分野でキャリアを積めば強い武器になるという。

なので保育士とバレーボールのかけ合わせはとても面白いなと思いました。ちなみに保育士として勤務されているのかどうかはわかりませんが、GSS東京サンビームズの選手にも保育事業部勤務の方がいます。

4月にはチームバスを購入するクラウドファンディングも行われ、目標には達しませんでしたが達成率80%はそれなりの成果だったのではと思います。

ビオーレ名古屋「日本初!保育士がVリーグに挑戦」を応援!
平等な機会と夢を育む環境づくりを目指す、スポーツ特化型クラウドファンディング・サービス「Sportunity(スポチュニティ)」です。

こういうチームがVリーグに参入できるかどうか。つまりチームとして存続するだけでなく、選手たちが成長して結果も出して、そしてそれなりの選手も入ってきて、という、チームとして軌道に乗るかどうか。これはVリーグの未来と可能性を示すといっても過言ではないと思います。

あと、このチームがすごいなと思うのが、他の地域リーグのチームはジョブパートナー企業などへ雇用が分散するところ、母体の栄寿福祉会グループ内で完結しているんですよね。その点ではNECのような、親会社のグループ企業が母体となる実業団形式と言えると思います。

愛知は既にデンソー、トヨタ車体、そしてトヨタ自動車と飽和状態にありますが、だからこそ存在価値を発揮してVリーグに新風を巻き起こしてほしいなあと思います(細かい話ですがそれらは全て三河のチームで、尾張にはチームがないですからね)。