もう一つのFC東京

Vリーグトーク
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しかも私が好きな東レアローズは、JTと並んで男女両方のチームを持っている貴重なクラブだし、しかもチーム名まで一緒なのはウチだけ(なので「#東レアローズ」とつけてしまうと男子のファンに悪いな…と思うこともある)。

私もつい「Vリーグは…」と前置きしてしまうが、それはほとんど女子のリーグを指しているし、ついVリーグ=女子のバレーボールリーグと考えてしまう悪い傾向がある。でも、男子もある。というより男子の方が観客動員も多い印象がある。つい「女子はパワーがない分つないでつないで…になるけれど男子はパワー一辺倒だからバーンバーンとなってすぐ終わる」とも思っていたのだが、何はともあれ男子も見ないことにはVリーグは語れないだろう、と、とにかく視野を広げようと思っていた。

まず先に初めて生で見た男子のバレーボールについて言うと、確かにパワフルでパワー一辺倒なところは多いが、思った以上につなぎもあるし、十分楽しめた。あと、これはテレビで見ていて感じていたことなのだが、男子のバレーはどこか基本というか、バレーボールという競技を学ぶのにはぴったりだと思った。はっきりとしたことは言えないけれど、ボール速度が速い=プレーが速い分、プレーの一つ一つがわかりやすいのかなと思った。メリハリがあるというか(実はこの「バレーボールという競技がわかりやすい」というのは女子の埼玉上尾を見ていて前々から感じていたことだった。男子バレーを取り込んでいると言われるだけにその理由がわかった気がした)。

後、これは黒鷲旗で初めて男子を見たときに感じたけれど、男子の方が写真に躍動感がある。人間の運動本能がわかりやすいというか。単純に、カッコいい。そう思った。女子とは全く違うバレーボールが、そこにはあった。

男子のファンが女子のファンにもなり、女子のファンが男子のファンになるためにはどうしたらいいんだろう。バレーボールのファン拡大はとかく新規層の取り込みが課題にあがるけれど(私も思いっきりそれなんだけれど)、男女のファンの相互交流、なんてのもあってもいいのでは…とも思う。その点では男女チームを持っている東レとJTの役割は大きいと思うし、11月の東レの愛媛大会みたいに、第一試合女子、第二試合男子、なんてのも面白いと思う(実際あの試合は完売だった。女子の試合は5/1からVTVで無料配信されるのでぜひ見ていただきたい)。それこそ、男女両チームを持っている東レ対JTで一日で両試合をやる、なんてのも面白いと思う。

この日見たのはFC東京対パナソニック、そしてサントリー対VC長野だった。パナソニックについては何より応援団の選曲センスに唸らされた。あまりによかったのでSpotifyでプレイリストまで作ったほどだ。

パナソニックパンサーズ
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2019年のW杯で男子も少し見ていたので、パナソニックの選手も何人か知っていた。個人的に山内選手に注目していたがあいにくケガでベンチ外で、さあ誰を撮ろうかと思ったら前にいた女性が7番の選手をスマホで追いかけていたので私もマークすることにした(ちなみに二階の自由席にいたのだが、周りは女子ばかりでおっさん一人は非常に肩身が狭かった)。7番の選手、すなわち久原選手は確かにカッコよかったし、清水選手もダイナミックだった。

FC東京で言えば、W杯に出ていた選手もいなくて全く知識がなかったのだが、迫田選手のサーブでの跳躍ぶりはカッコよかったし、得点時で観客を煽る小田嶋選手、というのも女子ではまず見られない光景だった。これはサッカー、というより味スタを彷彿とさせる光景だった。

でも、何より感動したのはこのシーンだった。

自軍の得点後に、控え選手たちが手を叩いてそれが会場に伝染していく。控え選手発信の手拍子。これは女子ではまず見られない光景だ。そもそもサーブは静まりかえっている(強いて言えばJTの私設応援団が「持って来い持って来いミズキ!」のように選手によってコールをしている)。応援団ではなく控え選手たちの手拍子が会場全体に広がっていく光景は壮観だった。

そして。(サッカーの)東京サポとして、二つの共通項があった。いわば、サッカー、バレーボール、両FC東京の架け橋となる存在だった。