続:Vリーグを撮るという“観”戦

カメラ
all text and photographed by
Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

■なぜバレーボールの写真はいいのか

個人的には元々カメラはほとんど使ってなくて。飛行機とか鉄道とか他を撮っていた人がバレーボールを撮るようになった、という知り合いもいるのですが、私はバレーボールをきっかけに撮ることの魅力に気づいていきました。もっといい写真が撮りたいと思い、今シーズン前にはカメラをグレードアップ(D5300からD500)したほどです。バレーボール以外では全く使っていません。

それはつまり撮ることが楽しい、かつ、撮れる写真に魅力を感じたからだ、ということになるわけです。ちなみに私は一時期ニュース用のアーティストのライブ写真を撮っていたことがありますが、そのときもライブを見ながら「この曲のこのシーンでは○○さんがこういうことをするからそれを逃さないようにしよう」とか、「この曲は観客が盛り上がるから、引いて観客を映り込む構図で撮ろう」とか、常に考えながら、移動したりして写真を撮ってました。もちろんそれは曲の内容、そして観客の反応まで事前に勉強していたから(一ファンとしてライブを見ることもしてました)そういうシミュレーションができたわけです。

※もっとも私はプロカメラマンでもないので、そういう勉強でカバーするしかなかったんです。

そのときの感覚と今のバレーボールを撮るときの感覚は気づけば一緒ですね。選手の熱いプレーとファンの応援という熱気が生み出す会場の空気を写真という形にして届ける、というのが魅力なんだなと。

ただ、それだったら他のスポーツでも撮れます。もちろん、バレーボールは他の競技(野球やサッカー、バスケ)と比べ選手との距離が近い、選手の動きが少ない、接触が基本的にない等々、撮りやすい=いい写真が撮りやすいメリットはあります。でも、それらとは違う決定的なものがあることに気づきました。それは、

「選手が下を向かないスポーツ」

ということです。

バレーボールはボールを落としたらおしまいなので、選手たちの目線が基本的に常に平行かその上、なんですね。上を見るということはそれだけで前向きというかプラスの印象を見ている人に与えると思います。だって、下を向いているということはうつむいているということでもあるのですから。

しかも上に向かって伸び上がるプレーも多いですし、それも見ている人を前向きにさせてくれると思います。躍動感がハンパないんですよね。アタックのシーンなんか、飛行機の離陸シーンに重なったりします。

だから、バレーボールの写真見てなんか元気もらったわー、という人が増えたらいいなと思ってます。もちろんバレーボールファン以外の人にも。

これからもそんな光景に出会えるよう、試合を「見て」いきたいと思います。