続:Vリーグを撮るという“観”戦

カメラ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

また、意図していたものが難しいと思ってすぐに切り替えたのがこれです。

本当はホームの大応援団をバックに御礼をする選手という構図を撮りたかったのに、相手チームが勝利のセレモニーをしていてそれができない。あ、なら勝者と敗者という対比の構図が撮れるなと思ったのがこの一枚。

あと、今シーズンは縦の構図を撮ることが増えたのですが、当然ながらトスとボールがきれいに構図に収まるんですよね。セッターの小西選手が上げたトスにホームのKUROBEの応援団も思いを込める…これはそんな一枚です。

あと、あえて選手を端に寄せて空白を作るという構図をよく撮りました。見つめる先に何があるのか、みたいな感じなのでしょうが自分でもよくわかりません(笑)。でもある意味、見る人に判断を委ねようとしているのかもしれません。

■共有による学びと気づき

当然ですが、私が見に行っている会場には同じように写真を撮ってSNSにアップしている方がいます。同じ試合を別の人はどんなところに注目してどんな構図で撮ったのか、を見るだけでとても楽しいですし、「次はこういう構図を撮ってみようか」と勉強になったりします。

また、その試合に行っていないときも、フォロワーさんが上げる写真を見ていて「このチームのこの選手のこのシーンかっこいいな」という気づきもあります。私自身も、バレーボールファン以外の方に写真を通してその魅力を伝えたいと思ってますし、もちろん同じ会場にいた人にも気づきを与えられたらと思っています。それはつまり、新たな観戦の視点、見どころ、そして楽しさを提供しているということでもあります。

※これは写真に限らずDAZNの中継とかでも気づかされたり勉強になることはよくあります。

私は、撮った写真、というより撮らせていただいた写真はバレーボールという競技の魅力を伝えるために使う(もちろん商業利用などもってのほか)という考えなので(もちろん選手を害するような写真は使いませんしそこは選定作業の中でかなり意識しています)、少しでもバレーボールの裾野拡大につながればと思っています(この肖像権や著作権についてはよく議論になります)。

なのでSNSに投稿することで写真、もっと言えば魅力を共有しているわけですが、その反応もものすごく参考になります。こういうアングルの写真が喜ばれるんだなとか。世代によっても変わったりしますし。私にとってSNSはマーケティングツールです(ちなみに私は最近はインスタメインです)。

※ちなみに写真によっては選手がいいねを押してくれたり、投稿で使ってくれることもあります。そういうことに気づいてからはそれもモチベーションの一つになりました。選手が自分の発信で使いたい写真をご提供するというのも大切なことだと、個人的には考えるようになりました。

■撮影と応援の両立の仕方

これはあのブログを書いてからやがて陥ったジレンマだったのですが、要は「撮っていてばかりで、目の前にいる選手たちを応援していないじゃないか」という疑問というか、自責の念に駆られるようになりました。東京に戻って来た18/19シーズンからVリーグ観戦を再開したわけですが、東レアローズというチームにどんどん魅せられ、そして岡山の追い上げによる熾烈なファイナル8進出争いを見ている中で、そして選手に近い席で見ている中で、

「撮っているんじゃなくて、目の前の選手たちを応援すべきなんじゃないか」

という自責の念に駆られるように。高性能のカメラを持って会場に来ているけれど、撮るのはごくたまにで、基本は団席で応援するのがメインの東レファンの知り合い、に出会ったことも大きかったです。彼は遠く離れた団席から、選手たちを後押ししている。自分は?こんなに近くにいるのに?撮っているだけ?

私自身は、撮って、SNSにアップしてバレーボール、そしてチームの魅力を伝えることでファンを増やすことで応援している、と当初は自己弁護していたのですが、ある意味東レの戦いぶりに引っ張られるようにして(とにかくチャレンジ3に回るのは避けたかった)、少しずつカメラを置いて声を出して声を出すようになっていきました。

ま、本当に選手たちが熱い試合をしていたら、観客にも自然と声を出させるようになる、とは思いました。ファイナル8進出がかかった大一番も、勝てばファイナル3、という大一番になると、私は自然と「エリナ行けぇぇぇぇ」「セナここで決めろ!」とか叫んでいました。(コートネームとはいえ)選手を呼び捨てするなんてとんでもないと思っていたけれど、目の前で繰り広げられている試合が熱いともうそんなことは関係なく。

そんなこともあって、ジレンマはありつつも、撮りながらも最低限の応援はしている、という感じです。前のブログではいわゆるスーパーシートは座らないといいつつ最近はホームゲームを中心に座っていたりだいぶ変わってしまったのですが、それは「いい写真を撮りたいから」でもありますが、純粋に「選手を間近で応援できるから」です(なので、声が届きやすいベンチ裏に座ることが多いです)。

いわば団席に陣取る応援団の別働隊、という感覚ですね。

同じように撮影と応援のジレンマに悩んでいる人は多いのでは…と思います。知り合いのように、土日の試合でどちらかは撮影、どちらかは団席、という風に分けている人もいるかもしれませんね。

最後に一番大事なことを書きます。