その先の古賀紗理那選手

NECレッドロケッツ川崎
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

③引っ張り

NECは世代交代が進んでいると思っていて、特に19/20シーズンはセッターも山口選手が抜けて澤田選手が中心になったり、他にも古谷選手、山田選手、曽我選手…と後輩がどんどん出てきた。一方で澤田選手や古谷選手は後輩でありながら同い年であり、仲間が増えた一方でしっかりしなきゃ、と引っ張る雰囲気も出てきたと思った。

今までは先輩選手から何かを言われることが多かったのだが

特に今シーズンは自分から声をかけたり、チームを引っ張る光景が増えていった。成長ぶりというか、そんな光景に出会えるのも個人的にうれしかったシーズンだった。

④躍動

そしてこれは今写真を整理していて気づいたんだけど、今季はさらに躍動感が増した気がする。体幹ががっちりしてきた、ということもあるのだろうか。

3年前と比べても体つきだけでなく明らかに表情が変わってきているとお分かりいただけると思う。簡単に言えば少女から大人になった、なんだけど、このあたりの年齢の人たちは劇的に変わる時期だと思う。そんな時期に立ち会える、そして見守ることができる、そして、その過程を残すことができる、というのは何にも代えがたいシアワセだったりする。

最初に私は、バレーボールに興味を持ったのがまず木村沙織さんで、あと古賀ちゃんも、だと書いた。その後二人にはこんなストーリーがあった。リオ五輪で代表落ちした古賀ちゃんに木村沙織さんがこんな言葉をかけた。

古賀紗理那、五輪落選からの復活。きっかけは木村沙織と仲間の言葉。(田中夕子)
優勝まであと1点。V・プレミアリーグ女子大会決勝、14-6とNECレッドロケッツが大きくリードして迎えた最終セット。サーバーは古賀紗理那。18歳で日本代表に入ったばかりの頃はサーブが苦手で「絶対チャンスにしかならないから、打つのが嫌なんです」

「紗理那は埋もれちゃダメだよ。」

引用元:Number WEB

この話は後にバレーボールチャンネルやS PARKでも二人の対談が放送されたのでご存知の方も多いだろう。二人だけの特別の関係というか、どこか木村沙織さんが渡したバトンを古賀ちゃんが受け継いでいる。そんな感じだ。

そう考えると私の「木村沙織さんを追いかけられなかった分、古賀ちゃんを追いかけよう」と、どこか木村沙織さんでできなかったことを古賀ちゃんでやっているのは、単なる偶然でもないのかもしれない。知らない間につながっていた二人の絆を、私は撮り続けているのかもしれない。ま、考えすぎにもほどがあるけど。

でも、木村沙織さんも今の古賀ちゃんくらいの年齢のときは同じようなものだったのかもしれない、ともふと思う。

そんな、3年近く撮り続けている私の中での現時点での最高の古賀ちゃん、がこの写真だ。2019年11月3日の大田大会だ。

でも、これはもちろん現時点でのベストショット。これを超える光景にきっとまた出会えるし、その先の古賀ちゃんをこれからも見守っていきたい。