Vリーグ女子発展のカギを握る「北陸」という広域

KUROBEアクアフェアリーズ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

■地元企業の支援度の高さ

先ほど挙げた、KUROBEには地元メディアが全て協賛企業に名を連ねているのにも通じますが、KUROBEは親会社を持たない一般社団法人なので、協賛企業が多く、かつユニフォームにもたくさんロゴが入るのは当然と言えます。これは一般社団法人ではないですが、岡山、姫路もそうです。

親会社を持つチームはユニフォームには基本的に自社のロゴしか入らないのですが(トヨタ車体とデンソーのようにホームタウンの市章、ロゴを入れているケースもありますが)、PFUは例外というか、何社かスポンサーロゴが入っています。

その中、やっぱりこの企業を取り上げないわけにはいかないでしょう。ということで株式会社まつやです。いや、とり野菜みそといった方がわかりやすいでしょう。PFUと同じくかほく市にある企業です。19/20シーズンからはユニフォームスポンサーに名を連ねました。ホームゲームでは出店もしています。

ちなみにPFUのホームページを見ると、18チームがチームスポンサーとして名を連ねトップページにロゴが掲載されています。ちなみにトップページにスポンサーがずらっと並ぶチームは少ないのですが(東レや久光、トヨタ車体、JTは0です)、デンソーは8社(しかもグループ会社とかではない)とこちらもすごいです。

もちろん、親会社だけの支援では成立できないという部分もあるとは思います。ただ、チームを企業のものにとどめるのではなく地域のものにするためには、地元のスポンサーが参加できる余地というものも必要なのではと思います。地元企業が多く参加している点でも北陸は貴重な地域だと思います。

そしてこれも大きいと思います。

■東名阪からのアクセスの良さ

東京からは北陸新幹線で金沢まで最速2時間28分、名古屋からは新幹線と特急しらさぎ(直通もありますが)で2時間半、大阪からは特急サンダーバードでこちらも2時間半と、三大都市圏からのアクセスが非常にいいんですね(名古屋、大阪ともに富山へのアクセスは少しプラスになりますがといっても18分です)。つまり、地元の人だけでなく他地域から対戦相手のファンがかけつけてくれるメリットがあります。

お客さんが多いということは当然入場料収入につながりますし、Vリーグは基本は土日連戦なので、日帰りせずに泊ってくれる、つまり宿泊や飲食といった観光も潤います。特に金沢は市内に名所も多いですから。

また、北陸新幹線はいずれ大阪まで伸びますから大阪からのアクセスはさらに向上します。その点では福井にもチームができたら面白いですね。北陸三県に全チームが揃った面白いですし。

ということで私なりに感じた北陸のポテンシャルについて述べました。

最後になりますが、PFU、KUROBEの両チームが切磋琢磨して共に優勝争いをするくらいまでレベルアップしていけば北陸は、ひいてはVリーグ女子はもっと盛り上がるのではないでしょうか。PFUにやってきた坂本監督にもそういう思いがありますし(これも先ほどあげた「リーリーリー」をご覧ください)。その点ではロンドン五輪の代表メンバーでもある江畑選手がPFUにいるというのは貴重だと思います。やっぱり実績のあって知名度もある選手がいるだけでも全然違いますからね。

そして、19/20に久光から移籍した筒井選手みたいに、チーム間移籍が活性化して、他チームではレギュラーにはなれないけど実績も知名度もあってまだまだやれる選手がどんどん北陸に移れば、もっと面白いなと思います。

そしていつかファイナルの舞台で両チームが相まみえたら…