⑤柔軟な選手起用
例えば開幕戦で白井選手を先発起用したり、リベロでは中島選手と水杉選手、MBは井上選手と小川選手を試合ごとに併用するなど、今季はローテーションを組んでいる印象です。ただ、調子が悪かったら試合中に変えるなど、柔軟ですね。
もっともこれは選手が感染して長期離脱しても大丈夫なようにというリスクマネジメントの部分もあり、それは他チームでもそうなのですが、もう一度バレーボールマガジンの越谷監督のインタビューを引用します。
「もうちょっと控えの選手のコンディションが上がってくれば…。あとは選手の方からアピールが出てくれば使おうかなと思います」
引用元:バレーボールマガジン(2020.11.23)
この「アピール」というのがカギだと私は思います。個人的にはそれで起用される機会が増えたのが小川選手だと思います。ついに皇后杯決勝という大舞台でスタメンを勝ち取れたわけです(18/19のリーグファイナルも19年の黒鷲旗も出場ナシでしたから)。
チーム内にいい意味での競争が生まれた、といえると思います。
⑥菅野専制体制から越谷共和体制へ
個人的な印象ですが、菅野監督って専制型なんですよね。こうしろああしろと決めてくれる。答えを出してくれる。「こうじゃないだろ!」と喝を入れてくれる。選手たちからすればうるさい存在だけれど、言うとおりにしていればいいという楽な部分もあったわけです。
越谷監督はその逆で、「あなたはどうしたいんだ」というのを聞いてくるタイプだと思います。簡単に言えば自主性を重んじるタイプですね。試合中も基本的に静かです。要所要所で的確なアドバイスを送っている印象はありますが。
その点では皇后杯の采配が興味深いです。
「今日は敢えて何もせずにそのままの流れでいこうと思っていました」
「経験が浅く、年齢の若い選手が多いので、雰囲気に呑まれるというわけではないですが、その辺のところはある程度予想はしていました」
「マッチアップを外してくるのは予想がついていましたが、そのままの状態で見ていようと」
引用元:バレーボールマガジン(2020.12.21)
選手たちに任せている。そんな感じのコメントですね。ただ冒頭で「監督の差で負けた」と言っています。責任は自分が取るよ、ということをはっきりと伝えている。これは大きいですね。
この専制型から共和型への切り替えのタイミングが結果的に絶妙だったと思います。なぜか。選手たちが大人になっているから、です。いや、まだ子供ですが(笑)、ただ、ある程度年齢がいったら大人扱いをすることも大事だと思います。いつまでも言われるがままやっていたら大人にはなれません。元々下北沢成徳の小川監督も厳しい指導をするタイプではないことも、下北沢成徳出身選手の多い今のチームにはぴったりなのかな(就実の西原さんはどんな監督なのだろう)。