④「キャプテン・黒後愛」
私自身は次のキャプテンは世代的に白井選手だと思ってました。それをすっ飛ばしていきなり黒後選手に、という感じです。
黒後選手をキャプテンに起用しようと考えたのは越谷監督です。上で引用したバレマガでのインタビューにこのような記載があります。
チームにとっても非常に重要なキープレーヤーだと思うので、本人に自覚を持たせようと思いました。今までは自分のプレーのことしか考えていなかったかもしれませんが、よりチームがどうなるかということを考えていくことによって自然と行動が変わるのではないかと思ったので。プレーの質を高めていきながら、振る舞いとか態度とかが変わってきたのではないかと思います。
引用元:バレーボールマガジン(2020.11.23)
これは何で読んだのかを覚えていないのですが(矢田部さんの実況かな)、活動自粛期間中の5月には打診していたそうです。そしてリリースが出たのは5/14。退団と新体制、スローガンまで一気に発表したわけです。当然他チームより全然早かった。5/14にはもう20/21シーズンを見据えて走り始めていたわけです。この気概もよかったですね。
話がそれました。
「キャプテン・黒後愛」がもたらしたものはめちゃくちゃ大きいと思います。まず
・菅野前監督に代わってコート内に喝を入れられる存在
彼女の声ってめちゃくちゃでかいんですよね。控えエリアにいるときうるさいくらい彼女の声が聞こえてきます(笑)。試合前ですが、これがとても分かりやすいと思います。
ただ、要所要所で喝を入れられる選手なんですよね。これは11月のウカルちゃんでの久光戦でのことですが、私はエンドの最前列で見ていたのですが、小川選手がサーブを打つ前に「愛里奈!」と手を叩きながら何か呼びかけていたんですよね。常にかけるわけではなく要所要所。これがものすごく大事なんですよね。
・同世代を引っ張れる
東レの選手は、主力中心で言うと石川、関、水杉、小川、野呂、大﨑…と黒後選手の前後が中心なんですよね。特に下北沢成徳出身の選手は彼女と一緒にプレーしていた時間も長い。その点では、その世代のトップである彼女がキャプテンというのはとてもいいんですよね。下北沢成徳の後輩の石川、野呂、大﨑選手からすれば頼れる存在ですし。というのとおっかない存在でもあるのかもしれませんが(笑)。
ただ、黒後選手がスパイクを打つときに石川選手が「愛さーん」と叫んでいる光景は個人的には好きです。下北沢成徳時代の絆が垣間見えるので。
・コート内でプレーで引っ張れる
キャプテンというのは、コート内で引っ張るタイプと、コート外で俯瞰してチームに助言を与える二つのタイプがあると思います。前者なら例えばJTの小幡選手、後者なら一番わかりやすいのがNECで柳田、山内選手ですね(試合に出るケースも多いですが)。
その点黒後選手は完全に前者。例えばチームがピリッとしていないなと思ったら自らのプレーで気合を注入できるわけです。
この前NECの試合を見ていて、ネリマン選手と通ずるものがあるなあと思ってました。プレー面でも精神面でも頼れる存在。キャプテンという衣をまとうことでさらにステップアップしている。今の黒後選手は見ていて、撮っていて本当に楽しいです。今季は黒後選手を撮ることが増えました。特に、気合を入れようと自分だったり、誰かに叩いてもらうシーンなんかはいいですね。ものすごく頼もしくなっています。