ジップアリーナ岡山に灯る明かり

岡山シーガルズ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

年明け1/9・10のVリーグ女子はV1は岡山のみ、V2は前橋という日程だった。三連休でもあるし遠征しようとは思っていたが、岡山は翌週も開催があるししかも東レ戦。最初は前橋にしようと思っていたのだが、なんか引っかかっていた。例え東レが出ていなくても、たとえ翌週行く予定でも、岡山は何回行ってもいいのではないか、と。結局前橋がリモートマッチになったことで私は安心して?岡山大会のチケットを買った。

そこで発令された緊急事態宣言…1/9・10の岡山大会は急遽中止となった。行けるときに行っておこうと思って11月に日帰りで行っておいてよかったと思った。いつ何が起こるかわからない。これは何も今の状況に関わらずどんなときもそうなんだけど。

翌週、1/16・17の岡山大会は結局予定通りの開催が決まったが、開場時間を遅くしたり、場内での飲食を禁止、そのためかもめ食堂も設置されないなど運営が大きく変わった。ジップアリーナの周りがこんなに閑散としていたのはちょっとショックだった。でも、「空間を超えてさあ行こう!」の巨大断幕は健在で、私を迎えてくれた。

このときの岡山大会は、冠スポンサーとして山陽マルナカがついていた。東京にいる私にはまったくなじみがないが、地元のスーパーである。山陽店には岡山シーガルズの専門ショップもある。グッズが買える常設の専門ショップがあるのはV1女子ではここだけだろう(富山大和にあるKUROBEのショップは富山のスポーツチームのショップの一コーナー)。店内で流れているであろう山陽マルナカのテーマソングに合わせてチアが踊る姿はまさに岡山ならではの光景だった。

ホームゲームに冠スポンサーがつくケースはままある。だけれど、これだけご当地感かつ日常感あふれるスポンサーがつくのは岡山ならではだと思った。山陽マルナカのテーマソングはいかにもスーパーに流れている曲、という感じだったし。そしてそれにあわせてチームのチアが踊る(チアが踊るにはスローテンポな曲だし)という光景は貴重だなと思った。論より証拠、ぜひお聞きいただきたい。

あと、今回の遠征では、岡山はスポーツチームが根付いているなと感じた。気づけばジップアリーナの一帯は岡山県総合グラウンドとなっていて、敷地内にあるジップアリーナはVリーグ(岡山シーガルズ)、Bリーグ(トライフープ)、シティライトスタジアムはJリーグ(ファジアーノ岡山)、岡山武道館はTリーグ(リベッツ)と岡山の各スポーツチームの本拠地が集結している(繰り返すけれど岡山駅から徒歩圏内というのがすごい)。これだけ集結している都市はまずないだろう。

そしてその近くにある奉還町商店街で今回こんなできごとが。ふらっと歩いていたら、店から出てきた年配の方が私をじろっと見て「…アルビレックス(新潟)?」と言ったのでなんだろうと思ったら、私が巻いていた東レアローズのマフラー(オレンジと青が基調)に反応したんだなと気づいた。マフラーを見てJリーグのスポーツチームが空で出てくる(しかもご年配の男性だ)というのはすごいなとびっくりした。ちなみにその人にはアルビレックスではなくバレーボールの東レアローズと話したら、ああ、シーガルズの、と言っていたので、バレーボールのチームですぐにシーガルズの名前が出てくるのもさすがだと思った(その時は土曜だったので「明日も試合ありますのでぜひ」とは言っておいた)。

ちなみに春高を制した就実高校(久光の石井選手やJT、東レの小川姉妹などが主な出身選手だ)も岡山駅徒歩圏内。バレーボールタウン、とまではいかないけれど、でもこれだけバレーボールのゆかりのあるものが集まっているのも岡山ならではだなと思った。

あとは岡山シーガルズの練習拠点も近くにあればいいのに…と思ったら、専用アリーナの構想があるというので日曜の早朝、ジョギングがてら行ってみた。

山陽新聞デジタル|さんデジ

1.4ヘクタール(1ヘクタールは100m×100m)とあるので、専用アリーナとあるけれど観客を入れるタイプではなくシーガルズの練習拠点か、それとも単に地元の人が使えるアリーナではないだろうか。岡山ドームなどがある岡山西部総合公園に隣接しているので、前述の岡山県総合グラウンドがプロチームの拠点ならば、この一帯は市民スポーツの拠点となりそうだ。岡山駅からは40分くらい歩くが、岡山から一駅の北長瀬駅が近くにある。

こんな状況でも、バレーボールに関する施設の新たな建設構想がある。岡山には希望があるな…と思った。

そう。こんな状況でも、岡山は希望がある。