当初は、日曜日に仕事があったため、この日岡山に来る予定はなかった。3時間以上かけて日帰りで岡山に来るほど私は酔狂ではない。ただ、感染拡大の足音がひたひたと聞こえ、試合がいつなくなったりリモートに切り替わるかわからない、という状況、かつ、東レが開幕から無敗という快進撃を続けている中で、行けるうちに行っておこう、と思って、またふらっとサイトをのぞいたら完売したAS席に空席が出ていたので、急遽行くことにした。岡山に日帰りするようになって私のVリーグファン度も一段階レベルアップしたと思った(アホか)。
ジップアリーナへの道中、はたしてちゃんと岡山シーガルズは露出されているんだろうかとふと思ったけれど、杞憂だった。奉還町商店街は相変わらずだったし、マンホールも相変わらずだった。
この日は県民応援デーとして、会場ではファジアーノはじめ県内のトップチームからのメッセージが掲出されていたり、岡山空港、岡山のご当地米のブースなど、ホームページに記載の通り「県民が一体となって応援機運を盛り上げることを目的」のイベントが行われていた。また、岡山のご当地グルメが食べられるかもめ食堂も相変わらずだった。ラインナップに多少変更はあれど、スポンサー一覧のボードも相変わらずだった。
そう、相変わらず、だった。
広場には岡電バスのシーガルズラッピング車まで展示されていた。ラッピングバスは前回来たときはまだなかったかもしれない。
でも、やっぱりジップアリーナの入口に掲げられていたこの断幕だ。
昨年は「絆ある新しき風をまとい、令和の空を突き進もう」。そして今年はこれ。時代をとらえた秀逸なスローガンは相変わらずだった。地元の山陽新聞によると「コロナ禍で会場に足を運べないファンにも、楽しく見応えのある試合を披露するとの思いを込めた」とある。
思えば岡山は、紅白戦をいち早く有観客で開催した。しかも一部をYouTubeで配信してくれたので私も見た。今季のリーグ戦はどんな客席配置になるのだろう。どんな光景になるんだろう。その一例になると思ったからだ。
この頃は代表が無観客での紅白戦を有料配信していたが、岡山は観客を入れるなど(ただし事前申し込みで県内在住者に限定)一歩進んでいた。このとき河本監督の挨拶も配信された記憶があるが、コロナ禍の中で迎えるリーグ戦に当たっての決意などを述べていてとても心に響いた。
一歩先を飛んでいる。それこそ新しいスタンダードを我々で作る。そんな意気込みすら感じられた。
だからだろう、この断幕もどこか誇らしげに見えた。
この日会場では「GO!FIGHT!SEAGULLS!」だけでなく、この曲もセット間に流れていた。
岡山は相変わらず岡山だった。
滞在時間7時間弱の短期滞在だったけれど、私はどこか安心して東京に戻る新幹線に乗った。