やっぱり世界には黒後愛しかない

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

ただ、こういうときにこの三人がいる。まず二人は白井選手と中田選手の副キャプテンだ。これは1月の岡山でのこと。ちょっとつらそうにしていた黒後選手に気づいたのかはどうかわからないけれど、中田選手が声出してエナジーを注入していた。

そしてこれは11月のウカルちゃんでのホームゲーム。どうやら白井選手にビンタを背中に入れてもらって、気合を注入したようだ。白井選手とはかつて試合前にシバキ合いをしていた仲だったりする。あと、入れてもらった後に笑ってコートに戻っているのがポイント。これが私の中での東レアローズな光景、だ。

笑いの白井選手、そして冷静な中田選手。二人の副キャプテンがキャプテンを見事に支えていて、三角形が絶妙のバランスで成立しているのだ。

もう一人は小川選手。これは1月の岡山で、黒後選手のレシーブミスが続いたときのTOで越谷監督がアドバイスした後に駆け寄って、リラックスさせるためだろう、肩をもんでいた。これはもう、同期の絆だ。

黒後選手を撮っていればそれがそのまま東レアローズの光景、になっているのも個人的についレンズを向けている理由だと思う。そしてまた、キャプテンとなったことで黒後選手が成長しているその過程が見られるのも楽しい。試合後にインタビューなどで挨拶をする機会が増えたが、「会場に来られない人でも画面越しに私たちのバレーが伝わるように」といったことをいつも口にしているのも個人的には好きだし、しびれる。東レアローズという首位チームのキャプテンの言葉、だからなのだろう。

もちろんキャプテンという衣は重いんだけれど、重い服を着ている分筋肉がついてパワーアップしている。今の黒後選手はそんな状態だ。元々すごい選手だったけれど、無双状態になりつつあると思う。

そしてファンはわかると思うけど、無双状態の黒後選手ってもう、誰にも止められない。

これから、大舞台が控えている。その衣はますます重くなる。

だけれども、そんな彼女を少しでも支えたい。そう思う。

そして、欅坂46の「世界には愛しかない」のラストじゃないけれど、この一言に尽きる。

「僕は信じてる。世界には黒後愛しかないんだ」

2年前に書いた第一章はこちら