でも、そこには「低く予想しておいて最終結果でダメージを受けないようにする」というリスクヘッジもあった気がする。減点法ではなく加点法。なので連勝を続けていてもそれがプレッシャーにならないようにどこかで止まってほしいと思っていたし、「好調なこのチーム相手なら負けてもいい反省材料になる」と思っていたこともあった。
冗談じゃない。こうなったら行けるところまで行くぞ!
このチームはそういうチームだった。突っ走った。本当に、突っ走った。後半息切れしようが、飛ばせるうちに飛ばしておく。だって、明日は保証されていないのだから!
ただ。勢いだけで勝てるリーグではない。戦力の底上げが大事だ。
そこを見事に補完したのが、私は小川選手だと思う。推しの選手としてのひいき目はなく、この選手の覚醒が後半戦のチームを支えたと思う。少し長くなりますが推しということでお許しください。
彼女を見始めたのは18/19シーズンからだが、どこか壁を破れていない感じがした。デビュー当時はどうだったんだろうと思って17/18シーズン(このときは札幌にいたので一試合も現地で見ていなかった)をVTVで見返したんだけど、この頃の方がパワフルだったし、伸び盛りの印象を受けた。簡単に言えば特に昨季などは伸び悩んでいた。いろいろ考えて自分の本質を見失ってしまったのかなとも思った。もちろんレベルアップするためにはブロックを強化…とかいろいろ課題はあったんだろうけれど、全部やろうとしちゃった。そんな印象だった。井上選手に完全にレギュラーを奪われてしまった。
流れを変えるジョーカーとして機能はしていたんだけれど、それで終わる選手ではない。壁を破れないものか…と思っていた。結果的に、その壁を今季破ったと思う。
ではなぜ破れたのか。これは勝手な想像なんだけれど、一つは体幹を鍛えたことかなと思う。体つきもだいぶがっしりした気がするけれど、それ以上に体幹ができている気がする。簡単に言うと「軸ができた」。ブロックを磨くために体幹を鍛えていたけれど、それがブロードとか攻撃にも活きたと思う。勝手な想像だけど。
で、体の軸ができたことで結果的に気持ちにも軸ができたと思う。あれこれやろうと思ったけど私にはこれしかない!と腹をくくったかなと。そういう「強さ」が写真から感じられるようになった。
でもそこには大きなきっかけがあった。それは、越谷監督だ。越谷監督は控え選手たちのアピールを求めるタイプだ。メディアを通してアピールがあれば使うよ、というメッセージを発していたことは大きかった。
そして、レギュラーをつかんだ大きなきっかけが、11月の岡山でのJT戦だった(私が見られなかった唯一の試合だ 泣)。地元、相手のコートには姉。負けず嫌いの彼女が燃える屈指の舞台を越谷監督がお膳立てしてくれた(と思う)。結果VOM。これが大きかった。
努力が認められ、起用された大舞台で結果を出した。
選手だけでなく監督の思いも一体となったからこその結果。これがチームに勢いをもたらせた部分もあると思う。何より他の選手たちもうれしかっただろうし刺激になっただろう。小川選手の覚醒が東レアローズの今季中盤以降を支えたとすれば、それに続いたのが終盤の野呂選手だったと思う。
行くぞーと序盤から突っ走ってきたけれど、ペースが落ちてきがちな中盤から小川選手、そして野呂選手が伸びて、勢いを持続できたと思う。勝った試合後の会見で小川選手が登場している貴重な記事のリンクを貼っておきます。
また、白井選手の存在も大きかった。二枚替えが完全に機能したのも大きかったし、特に尼崎大会のJT戦はサーブで流れを一気に引き寄せた。選手たちを笑いに包ませる盛り上げ隊長だけれど、言葉だけでなくプレーでも盛り上げられたら最強だ。
そして上の記事にも記載があったんだけれど、確かに尼崎大会でセット間のTOで白井選手が出迎える光景に気づいて、これは初めて見るな…と思っていただけに、この記事を見てなるほどなと思った。しかも黒後キャプテンの指示だった。黒後キャプテンは、こういう「雰囲気」にも気を配っていたのが素晴らしいと思った。「キャプテン・黒後愛」がもたらしたものについては下記に書きましたので宜しければご覧ください。