風の谷の東レアローズ20/21ファイナル

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

少し話はそれて、私の話になる。

私は仕事の内容が変わって、それまでと違って土日にも仕事が入るようになった。発表された日程を見て、これはどれだけ行けるかな…と思った。だから、行ける試合はできるだけ行こうと思った。日曜に仕事が入ったので当初は見送っていた11月の岡山大会は、急遽初めて日帰りで駆け付けた。

もちろんそこには、いつ打ち切りになったり無観客に切り替わるかわからないから、試合が開催されているうちに行けるうちに行っておこう、という思いが働いた。

そう、気づけば私がやっていたこともチームと同じだった。行けるところまで行くぞ!

選手たちの氣迫が私にも響いて動かしていた。黒後キャプテンが言う「行けるところまで行くぞ!」という声に私まで「オーッ」となっていた。一緒に、ついていっていた。

でもついていった理由には、開幕から連勝重ねていたチームの勢いがもたらす雰囲気の良さもあった。和気藹々としたチームに、強さ、そして黒後キャプテンの、笑ってはいるものの端々に感じる少しピリッとした氣も感じていた。それで気持ちが引き締まるというか。

相変わらず撮っていて楽しい、満たされる(アロ充)東レアローズだったけれど、そこに強さ、そして氣迫が加わって、ますます魅力的なチームになっていた。

気づけば、私のリーグ戦+皇后杯の観戦数は最終的に13試合になった。有観客で開催された試合は14試合だったので、私は仕事が入った11月の岡山のJT戦以外全て見ることができた。奇跡だった。そして、行きたくてもいけない人も知り合いにたくさんいたので、彼らの思いも背負って見に行き、伝えようと思った。

仕事が入ってリアルタイム観戦ができないときは、仕事の合間にテキスト速報を見ていた。その数字でしびれることもあった。特にフルセットになった1月NEC戦は、更新するたびに鳥肌が立った。黒後キャプテンはよく試合後のインタビューで「会場に足を運べずに画面越しに見ていただいている方にも伝わる私たちのバレーボールを」と言っていたが、映像だけでなくテキストだけでも伝わっていた。

また私自身も今季変わったことがある。

今までは声を出して選手たちの背中を押していたことで応援している感覚、自己満足に近い手応えもあったけれど、それができない、でも何かできるのではと思って、例えば新聞を作ったりした。最初は「やれるところまでやろう」と思っていたが、気づけば全試合書ききった。完全に選手たちに動かされた形だった。

でも。

そもそも私の予想は3位だった。確かにいつでも開幕OKになっている。戦力の大きな変化もない。でも、大きな変化がないということは相手にも読まれているわけで、そんな簡単にはいかない。ちなみに1位はNECで2位はJTだと思っていた。東レファンではあるんだけど、だからといって優勝予想にするのは別の話だった。