あ、これはJTは完全にフルセットに持ち込もうとしているな、と。点差がついたら無理に追い上げず、相手を乗せて第五セットで叩き潰す。一見NECのペースに見えるこのセットは実はJTの土俵にズルズルと吸い込まれていって、JTのベースになっていないか…?
個人的には18/19シーズンのファイナルがそうだった。東レは第二戦で久光を下して、この勢いでゴールデンセットも取れる!と思ったのだが、久光はゴールデンセットにもつれ込むことも想定済みだった。これが王者の戦いなのかと思い知らされた。勢いだけでは勝てないのだ。こうして大人は勝つのだ。
そして第五セットが始まった。
NECが6ー5とリードして迎えたNECのサーブで、ボールはラインを割ってJTの得点となったときに、事件は起こった。突然ブザーがなったのだ。やがてそれは間違いだったことが判明し、NECのサーブの打ち直しとなった。当然得点が取り消されたJTは監督やスタッフ、そして小幡選手をはじめ選手たちが憤った。審判、ジュリーに対して抗議のアピールをした。
ここで空気が、変わった。NECはあきらかに委縮した。
打ち直しとなったサーブは同じようにラインを割った。これは、JTに対して当初与えられるべきポイントをプレゼントしたのかもしれない。だけれど、JTとしては当然乗る。
もしこれがボールインで、最終的にNECがポイントを取って7-5としたら、NECはさらに乗っていたかもしれない。
でも、それは間違いなくNECレッドロケッツではない。
6-6で迎えたポイントをNECは落とし、第五セットで初めてリードを奪われた。そのリードを奪い返すことは、できなかった。
ああ、ウチの相手はJTになってしまったか。そう思った。東レ対NECを見てみたかった。なぜか。似ているチームだと思ったからだ。
若さゆえの勢いが感じられるチームだけれど、シュンとしてしまう脆さも持っている。相手を蹴落としてでも上に進む、というものはない。簡単に言うと「大人」ではない。でもそんな大人になんかなりたくない。
ああ、東レと似ているから、私はなんだかんだNECに思い入れを抱くんだなと思った。
※正直に言うとかつていた会社だから、というのもある(在籍当時はバレーボールに興味はなかったんだけど)。
まあもし東レ対NECになったらどっちを応援しようか迷う…なんてことは一切なくNECは一切撮らずに東レを応援するのみなんだけれど、開幕前の優勝予想が当たっちゃったらどうしようとはちょっと思った。