バレーボール女子東京五輪代表 選手紹介~セッター&リベロ編~

日本代表
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

いよいよ東京五輪が近づいてきました。

大会前こそイマイチ盛り上がらない五輪ですが、いざ始まると、今まで注目されていなかった選手が活躍することで急に選手や競技にスポットライトが当たるもの。ということで一足先に、今回のバレーボール女子五輪代表の、個人的な注目ポイントをご紹介します。

これからご覧になる方、そして五輪後に注目する方にも参考になればと思います。まずは、チームの攻守の要・セッターとリベロです。なお、紹介順は下記の日本バレーボール協会の写真順にします。最初はセッターですが、二人しかいないのでリベロも追加します。

掲載している写真は全て私が撮影したものです。

https://www.jva.or.jp/index.php/topics/20210630-1

その前にチームとしての私の感想ですが、一年延期になったことで、メンバーが結構入れ替わった印象です。たかが一年、されど一年。選手たちにとっては重いですね。新鍋選手や佐藤美弥選手など、本来なら五輪の舞台に立てていただろうなあ、というメンバーも残念ながらいますが、逆にチャンスをつかんだメンバー、そしてさらに成長を遂げた選手もいます。こう言っては何ですが、三年後のパリ五輪が楽しみなメンバー、というのが私の感想です。

ちなみにバレーボールの代表ってたった12人なんですよ。リーグ戦では登録メンバーは14人なのにそれより少ない。狭き門なんです。5月から行われた国別対抗戦、バレーボールネーションズリーグ(以下VNL)を経て、17名から絞り込まれました。

東京五輪で「メダルが期待できる」とは正直言えませんが、母国開催のメリットをいかしてほしいですし、予選グループは楽な組み合わせになったので(日本、ケニア、セルビア、ブラジル、韓国、ドミニカ共和国で4チームが決勝T進出)、その後の準々決勝を突破できるかどうか、でしょうね。

セッター:田代佳奈美選手(デンソーエアリービーズ)

リオ五輪にも出場していて、その経験が見込まれての選出だと思います(ちなみにリオ五輪にも出場しているメンバーは彼女含め4人)。9シーズン東レにいた後、海外移籍もしていますし。

後々のメンバーを見ればわかるのですが、初選出だったり若いメンバーが多いんですよね。その点で経験を買われているのではと思います。個人的にはトスワークはオーソドックスな印象なのですが、後述のセッターとの違いを出すためにも必要なのでしょう。

というのも、先日行われたVNLでも基本的に彼女は控えだったので、トスワークがことごとく読まれたり、頭が混乱している正セッターが崩れたときの立て直し役、としてはうってつけといえます。

セッター:籾井あき選手(JTマーヴェラス)

JTを連覇に導いた立役者です。

高校を卒業して入団した19/20シーズンの開幕戦からレギュラーで起用され、いきなり優勝。昨季もチームの主軸として連覇に導き、一気に代表入り、そして代表でもレギュラーをつかみました。なので、東京五輪が2020年だったら間違いなく彼女はいなかったです。いわゆるシンデレラガールといえますね。

セッターとしては背が高くて(176cm)ブロックも有効、貴重な左利き、等々彼女の特徴はいろいろあるのですが、個人的に一番思うのは強気だったり動じなさ、だと思っています。例えばこの写真。チームメイトでバリバリのアメリカ代表でもあるドルーズ選手にこんなことができるのが、彼女の特徴を何より示しているんじゃないかな。

ちなみに彼女は2000年生まれで、かつ誕生日の関係でチーム最年少(現時点で20歳)。でも、そんなこともものともしない性格ですね。

VOMのインタビューでの彼女も結構好きです。けっこう、答えるまでに間があるんですよ。陽気な性格でもないし(あまりそういう選手はいませんが)、いわゆるメディア受けはあまりしない選手です。ただ、だからいいんですよね。インタビュアーに乗せられて話すということはなく、自分の言葉を考えて話す。要は簡単に「そうですね」って言わない選手だと思います(このタイプは久光の長岡選手もそうでした)。

個人的に受けたのはこの写真ですね。

これは私の推測なのですが、試合後に記念写真を撮ろうとして「あ、ちょうどあそこに撮っている人いる」といって私を指している、んですね。公式のカメラマンではなく一ファンのカメラを記念撮影に使ってしまう、この強心臓ぶり(笑)。目黒選手が(えっ、JTファンでもない人のカメラ…)と、若干引いているのは気のせいでしょうか(笑)。

そこそこ長いシーズンバレーボールを撮ってますが、ファインダー越しに選手に指さされたのは今でもこのときだけです(笑)。(実はうれしい)

もし今回の代表が躍進してメダル、なんてことになったら一番の立役者は彼女になるでしょう。ただ、スポットライトはアウトサイドヒッターの選手に奪われてしまうかも。まあでも彼女としては変に注目が集まるよりはその方がいいと思っているかもしれません。

ちなみにVNLの段階では東レの関選手も候補でした。残念ながら外れてしまったのですが、むしろパリ五輪に期待したい選手です。そしてVNLで感じたこの三セッターの違いですが、私の中ではこんな風に考えてます。

・監督やコーチの指示をあえて聞かない→籾井選手

・監督やコーチの指示を聞いていない→田代選手

・監督やコーチの指示を全部聞いてしまう→関選手

個人的にしっくりくる違いです。